普段から仲が良いだけに、インタビューでは掛け合い漫才のような状況に!/(C)KADOKAWA 撮影=福岡諒祠

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同じ代打という役割から、普段から一緒に準備・行動することが多いという中川大志選手と佐野恵太選手。そんな代打の切り札として活躍する2人の仕事人に独占インタビューを敢行! 漫才のような掛け合いが繰り広げられました。

【写真を全部見る】佐野選手にとっては、頼れるお兄ちゃん的な存在という中川選手/(C)KADOKAWA 撮影=福岡諒祠

■ 「DeNAの若い選手たちは距離の縮め方がすごい」(中川) 「大志さんはイケメン5兄弟の長男です」(佐野)

―中川選手は今年、楽天から移籍されましたが、チームの雰囲気にはもう慣れましたか?

中川 最初はもちろん不安でしたが、DeNAの若い選手たちの距離の縮め方がすごいんですよ。野球の世界って、だいたい先輩後輩の壁ってあるじゃないですか。それが普通このくらい(肩のあたり)だとすると、DeNAはこのくらい(くるぶしあたり)なんです。

佐野 軽々とまたいで行けます(笑)。

中川 特に佐野はハードルが低くて、いきなり近付いてきたよね。「えっ?」っていう感じ。「昨日はあんなに遠かったのに、今日もうこんな近く?」って。グラウンドでいえば、昨日はポールのあたりにいたのに、今日はいきなりに隣にいて話しかけてくる(笑)。念のために確認したいんだけど、僕のことをナメてない?

佐野 まさか!ナメてなんていませんよ!! 逆ですよ、リスペクトしています。

中川 本当かなぁ。佐野は本能的に甘えられる人を嗅ぎ分けられるような気がするんだけど。

佐野 大志さんは、先輩というよりお兄ちゃんみたいな感じなんですよ。いつも言ってるんですけど、大志さんが長男で、次男が神里(和毅)さん。僕が三男で、東(克樹)が四男、そして宮本(秀明)が五男。イケメン五兄弟です。

中川 自分で言うかな(笑)。確かに神里は群を抜いてイケメンだよね。東は先発投手なので、あまり練習で一緒っていうことがない。普段触れてない分、甘えられるとかわいい。秀明も年が離れているからね。でも三男はちょっとなぁ(笑)。いつも一緒にいるし。

佐野 いえいえ、なんだかんだ言って、大志さんに求められているのがわかりますよ。あと僕、周囲からは「神里さんに似てる」って言われるんですよ。

中川 どこが!? 全っっ然、似てないよ!

佐野 この間もファンの方に「サインください」って神里さんのカードを出されました。神里さんに「また間違えられちゃいました〜」って報告しておきました。

中川 いやな顔してたでしょ?

佐野 小さな声で「絶対ムリ」って言ってました(笑)。どういう意味なんでしょう?

■ 第一印象は「中川さんはストイックで怖い人」(佐野)、「佐野はバッティングがいい子」(中川)

―お互いの第一印象を教えていただけますか?

佐野 最初は、たぶん去年のファームの試合です。僕はキャッチャーで出場していたんです。その時の楽天の4番が大志さんでした。体がすごく大きくて迫力があって、あまり笑わないし、野球にストイックに取り組む、怖い人だと思っていました。

中川 僕は対戦した時のことは覚えてないけれど、ちゃんと意識してくれてたんだね。ちょっと照れるな。

佐野 それがまさか、こんないじられキャラだったなんて…。

中川 ななっっ? 佐野は別として、そんないじられてないだろう?

佐野 宮粼(敏郎)さんとか西森(将司)さんとかに…。僕はそこに便乗してるだけです(笑)。

中川 ううっ、そ、それは。先輩からいじられる分にはいいだろう(汗)。

―中川選手からの佐野選手の第一印象は?

中川 僕は昨年の対戦は覚えていないけど、キャンプで初めて一緒に練習してみて、バッティングのいい子だなぁって思いました。最初は筒香が打ってるんだと思いました。

佐野 キャンプの時はまだお互い距離を置いていたので、話もほとんどしてませんでしたよね。

中川 何がきっかけでこうなったのか思い出せないけれど、佐野とこうして話すようになって、チームになじむことができたと思う。感謝してるよ。

■ チームにケガ人が多く、スタメンとしての期待もかかった前半戦

―2人とも左右の違いはあれ、一発長打のある代打の切り札というイメージがありますが、交流戦ではスタメンでクリーンナップという試合もありました。前半戦を振り返ってみていかがでしたか?

佐野 開幕してから1か月くらいまったく打てなくて、ファームにも行きました。最初の2か月は本当に苦しかったです。交流戦のソフトバンク戦で、千賀(滉大)さんからホームランを打って吹っ切れました。スタメンの経験もさせてもらったし、ようやく自分の形で野球ができるようになった気がします。それもこれも、あの苦しい期間があったから。だから今も頑張れているんだと思います。

中川 チームとしてはケガ人が多くて、苦しい前半だったと思います。僕もスタメンで出させてもらいましたが、ケガ人の代わりになれるかといえば、自分自身にまだまだ力が足りないことを痛感させられました。それでもなんとかチームの役に立ちたいと、そういう思いでやってきました。僕も佐野も、スタメンは増えましたが、ケガ人が戻ってきた時も、スタメンで使ってもらった経験を生かして、自分の立ち位置を作っていけたらいいなと思います。

―では最後に、ファンに向けてメッセージを。

中川 今年初めて横浜スタジアムで試合に出させてもらって、ファンの声援がどの球場よりも選手に届くことに驚いています。すごく力になりますし、ありがたい。なんとかファンの皆さんに笑顔になってもらえるように、チームの勝利に貢献できるように、一生懸命これからも頑張っていきたいと思います。

佐野 僕はまだヒーローになったことがないので、お立ち台に上がって「I ★(LOVE) YOKOHAMA」ができるようにしたいです。

―この記事の校了までにヒーローになっちゃったらどうしましょうね。

中川 あ、大丈夫です。心配無用です(笑)。

佐野 今日(取材日当日)の広島戦とかでやっちゃいましょうか。

中川 ないない! そんなに甘くない!

■ 予告されていた佐野選手のヒーローインタビュー!

と、ここで原稿が終わるはずが、この取材の直後に行われた試合(6/29の広島戦)で、佐野選手がサヨナラタイムリー! 次男・神里選手と一緒にお立ち台に上がって「I ★(LOVE) YOKOHAMA」を実現してしまいました! さらに7/9の中日戦でも7回に同点ツーランホームランを放ち、2度目のヒーローに。見事な有言実行に、編集部も「マジか?」とビックリ。大志兄さんも自分のことのように喜んでいました。 

■中川大志(なかがわ たいし)[内野手]背番号61

1990年愛知県生まれ。桜丘高から2008年ドラフト2位で楽天に入団。2018年よりDeNA。長打が武器の内野手。今季はおもに右の代打として活躍するが、外野を守れる器用さも

■佐野恵太(さの けいた)[内野手]背番号44

1994年岡山県生まれ。広陵高から明治大を経て2016年ドラフト9位で入団。昨年ファームでチーム最多の11本塁打。左の代打が中心だが、交流戦ではスタメンでクリーンナップも経験

【取材・文/小貫正貴 撮影/福岡諒祠】

※「横浜ウォーカー」夏号(発売中)では、中川選手&佐野選手のインタビューや今ハマっているものなどを紹介しています。(横浜ウォーカー・編集部)