「化学物質審査規制法」来年1月改正、何が変わる?
人体や生態系への悪影響を抑えるため、化審法では電子材料などに用いる新規物質を販売する前に政府へ届け出る義務がある。現状、製造・輸入量が年1トンを超える物質は人体や生態系への有害性を評価したデータを提出し、審査を受ける。1トン以下の「少量新規」物質はデータは不要で、申し出によって製造・輸入ができる。
900キログラムを売るつもりでいた商社は、300キログラムしか販売できなくなる。商社から物質を購入するメーカーも予定量を調達できず、製造に支障が出る。15年度は4276件の数量調整が発生。全体の申し出件数の12%に当たる。「低生産量新規」に当たる物質でも数量調整がある。
経済産業省は調整によってサプライチェーン全体で売上高4707億円が失われていると試算する。電池や新薬の研究に必要な高機能物質が調整されることもあり、産業界も改善を要望していた。
新たな基準値となる環境排出量は、物質が使われた製品から環境中に放出された物質の量だ。塗料に含まれる物資なら、塗った製品から大気に出た量となる。実際の計測は難しいため、政府は用途別に排出量を見積もる「排出係数」の設定を準備している。仮にプラスチックの係数が「0・01」なら「製造・輸入量×0・01」の答えが排出量となる。
900キログラムの物質なら排出量は9キログラムとなる。他社の量を合計しても1トン以下ならば、900キログラムを売れる。多くの数量調整が解消されると少量新規物質は売上高、利益とも45%増が見込まれる。日本化学工業協会の半沢昌彦化学品管理部長は「事業計画を立てやすくなる」と評価する。
ただし化学メーカーや商社には、用途証明を政府に提出する義務が新たに生じる。対応するには物質を売ったメーカーから用途情報を入手する必要があり、購入したメーカーも正確に伝えなければならない。企業秘密にしている場合もあるが、日本全体の産業競争力の向上のために協力が求められる。
