東京都福祉保健局は4月20日、東京都受動喫煙防止条例案の骨子を発表した。

政府が提出している健康増進法の改正案では、客席面積が100平方メートル以下かつ、個人経営か資本金5000万円以下の飲食店は、表示をすれば喫煙が可能とされている。厚労省の試算では、55%の店舗が例外になる。

一方、今回東京都が出した条例の骨子案では、店舗面積に関わらず、従業員を雇用している店舗はすべて原則屋内禁煙になるという。条例が可決されれば、都内の飲食店の83.7%が規制対象になる計算で、健康増進法の改正案より厳しい規制がかけられることになる。

改善命令に従わない場合、喫煙禁止場所で吸った場合は5万円以下の罰金


小池百合子都知事は20日の会見で、条例の骨子案について「誰もが快適に過ごせる街を実現する、人に着目した、独自の新しいルールを構築することが目的」と話した。

骨子案を見ると、働く人と子どもを受動喫煙から守る条例という色合いが強い。特に子どもについては、幼稚園や保育所、小中高校は敷地内禁煙とし、屋外喫煙所の設置も不可になる。その他の施設については、喫煙室などに子どもが立ち入ることを禁止する。また、中長期的には児童・生徒に対する禁煙教育を徹底していくことも予定しているという。

条例では加熱式たばこも規制対象だが、健康被害が明らかになるまでは行政処分や罰則の対象外になる見込みだ。

改善命令に従わなかったり、立入検査を拒否したりした場合は、施設の管理権原者に5万円以下の罰金が課せられる。また、喫煙禁止場所で喫煙したり、喫煙の中止や退出命令に従わなかったりする場合も罰金の対象になる。

条例案は今後、市区町村首長らとの意見交換会を経て6月の都議会に提出される。可決後は、2019年のラグビーワールドカップ開催までに店頭表示やステッカーの義務化、2020年のオリンピック・パラリンピック開催前までには、罰則適用も含め全面施行したい構えだ。