富士急ハイランドが期間限定で、「おひとりさま」専用の「シングルスマートフリーパス」を販売しています。遊園地といえば、親しい人と楽しむイメージがありますが、どのようなニーズがあるのでしょうか。

割引、優先搭乗、そして「チョコ」っとプレゼントも

 山梨県富士吉田市の遊園地、富士急ハイランドが2018年2月9日(金)から、「おひとりさま」限定という「シングルスマートフリーパス」を販売しています(利用は10日から)。


富士急ハイランドのイメージ。多数の絶叫コースターを有する(画像:富士急行)。

「シングルスマートフリーパス」は、通常の大人フリーパスで5700円(税込。以下同)のところ、5300円で発売されます。このパスを持っていれば、絶叫コースター「FUJIYAMA」「高飛車」へ、ひとりぶんの席が空いた際に優先的に乗車できるほか、園内のレストランではおひとりさま専用席が用意され、さらにスタッフから“チョコ”っとしたプレゼントも進呈されるといいます。発売期間は3月14日(水)までです。

 富士急ハイランドを運営する富士急行に、このパスを発売する理由を聞きました。

――「シングルスマートフリーパス」をなぜ作ったのでしょうか?

 遊園地をひとりでも楽しみたい方向けに作りました。富士急ハイランドは特色あるジェットコースターが名物ですが、自分はコースターが好きでも、仲の良い人は乗れないということになると、当園は必然的にお出かけの候補から外れてしまうためです。また、「シングルスマートフリーパス」の方は、「FUJIYAMA」などの通常の待機行列とは別の列にお並びいただき、ひとりぶんの席が空いたときにご乗車いただくことで、効率的に席を埋めて行列を緩和する意図もあります。

USJやディズニーでも「おひとりさま」優先あり

――近年、「ひとりカラオケ」や「ひとり焼肉」なども増えていますが、このような市場を意識して発売したのでしょうか?

 おっしゃるとおり、「おひとりさま」の市場が盛り上がってきていると感じています。遊園地としても、その傾向を受け止めてみようと思って始めました。

――実際に「おひとりさま」は富士急ハイランドで増えているのでしょうか?

 いえ、現状はそれほど多くはないと認識しています。

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 このように、アトラクションの行列に対し「おひとりさま」を優先的に案内することは、東京ディズニーリゾートやUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)でも導入されています。ただ、「おひとりさま専用のパスを作った例はほかに聞きません」(富士急行)といいます。

 USJでは、「おひとりさま」の優先搭乗を「シングルライダー」と呼称し、一部のアトラクションで導入しています。運営する株式会社ユー・エス・ジェイは、次のように話します。

「待ち時間の緩和を目的に導入しており、『早く乗りたい』『友達といっしょでなくてもよい』という人はたくさんいらっしゃいます。ただ、ひとりで何かをしたいという方を取り込もうという目的ではありません。もちろん『おひとりさま』市場が盛り上がっていることは認識していますが、やはりテーマパークは親しい人や家族との楽しい時間を過ごすところであると考えています」(ユー・エス・ジェイ)

 USJでは、現在のところ「シングルライダー」以外の「おひとりさま」向け施策は予定していないそうです。

【画像】富士急の「加速世界一」コースター


観覧車の左が、「ド・ドドンパ」の世界最大級ループ。ライド(乗りもの)がスタートして1.56秒で180km/hに達するという「世界一の加速」を受け止める(画像:富士急行)。