Jリーグ、この冬「衝撃」だった7つの移籍
注目の「DAZN初年度」を経て、様々な選手の動きが見られている今冬のJリーグ。
そのなかにはいくつも印象的な移籍があった。
そこで編集部員に、この冬のJリーグにおいて「衝撃」といえる移籍を各自選んでもらった。
齋藤学
横浜F・マリノス→川崎フロンターレ
大きな波紋を呼んだ移籍だ。齋藤と横浜FMサポーターの間には、決定的な溝が生まれてしまった。
ただ、その“裏切り”にはいくつかのエクスキューズもありそうだ。
前十字靭帯損傷の大怪我を負った状況でのオファーはおそらく齋藤にとって想定外。オファーが来るまではマリノスの一員として2018シーズンに臨むことしか考えていなかったに違いない。
そして、実際にオファーが届いたとき、川崎の篠田洋介フィジカルコーチの存在が大きかったことも想像し難くない。彼は2016年まで13年間マリノスで同職を務めており、自身も学生時代に膝の大怪我を経験している。齋藤がリハビリを経てトップコンディションへ戻していく上で、信頼できるコーチのそばでと考えることは選手として自然なことでもある。
とはいえ、それらがサポーターの傷を癒すことにはならないのも事実。
この決断が吉と出るか、それとも…。齋藤のプレーにこれまで以上に厳しい目が注がれるシーズンとなる。
選出者:編集部O
大久保嘉人
FC東京→川崎フロンターレ
「何故?」の移籍から一年が経ち、元日本代表FWが下した決断はさらに「何故??」と疑問符が増える移籍であった。
そして、それと同時に芽生えたのが、はたして川崎フロンターレがかつてのエースを上手く起用できるのかという疑問点。
昨季のMVP&得点王で現エースの小林悠との2トップにチャレンジするのか、はたまた中盤での起用も選択肢に入れるのか。
鬼木達監督の采配は、2018シーズンのJリーグにおける注目点の一つに間違いなくなるだろう。
選出者:編集部T
【次ページ】BIGな外国人
ジョー
コリンチャンス→名古屋グランパス
もはや終わった選手だと思われていたジョーだが、母国帰還で大復活。
私生活をあらためると、得点王とMVPをダブル受賞するキャリア最高の一年となった。
その移籍金は1100万ユーロ(14.9億円)ともいわれており、J史上最高額レベルのお金でやってくる。
ただ、1人でゴールを奪う選手ではないだけに、周りのサポートが鍵になりそうだ。
ちなみに、オーストラリア代表GKミッチェル・ランゲラクの加入も驚きだった。
ワールドカップのメンバー入りがかかるシーズンだけに意気込みは相当なはず。楢崎正剛との正GK争いは大きな注目を集めそうだ。
選出者:編集部I
【次ページ】生え抜き流出
田口泰士
名古屋グランパス→ジュビロ磐田
J1へ一年で復帰した名古屋から磐田へ完全移籍。9年間グランパスで戦った生え抜きの流出はサポーターにとっても衝撃だったに違いない。
田口は名古屋での選手生活を「僕の財産」と尊重したが、今シーズン名古屋は“田口ロス”を克服しなければならない。一説には現状維持の年俸を示した名古屋に対して、他クラブはより良い条件を示したとも言われている。
磐田サポーターからすれば、名波監督の元で、田口が正確なパスなどで力を発揮しかつての名波監督自身のような存在になって欲しいところだ。
日本代表入りも含めてJ1での活躍を期待したい。
選出者:編集部Q
【次ページ】アジア革命
ティーラシン・デーンダー
ムアントン・ユナイテッド→サンフレッチェ広島
「アジア枠」の設立から数年が経過し、ようやくJリーグでアジア革命が起こりつつある。
ウズベキスタンのムサエフが磐田で活躍を見せ、チャナティップが札幌で大きな飛躍を遂げた。東南アジアから欧州を目指すためのステップとしてJリーグが存在感を発揮できれば、どんどんマーケットは広がっていくはず。経済規模と知名度が高まれば、自ずと実力も上がっていくものだ。
今冬のマーケットでは、なんとタイ代表のエースであるティーラシンが日本へとやってきた。そして左足の魔術師ティーラトンまで神戸入りを明言している。
まさかチャナティップのプレーがここまで大きな衝撃をもたらすとは思わなかった。これは突然やってきた大きなチャンスである。彼らをしっかりサポートし、Jリーグ自体の価値を高めて欲しい。
選出者:編集部K
【次ページ】7年ぶり復帰
内田篤人
ウニオン・ベルリン→鹿島アントラーズ
すでに大きく報じられている内田の復帰だが、「驚き」という点では取り上げざるをえない。
ウニオン・ベルリンでの生活を半年で切り上げるのは本人としても難しい選択だったはずだが、それほどまでにワールドカップに対する思いが強いのだろう。
プレー自体はもちろんのこと、経験を重ねた内田が常勝軍団に何をもたらすのかにも注目だ。
選出者:編集部S
【次ページ】まさかの海外移籍
豊川雄太
鹿島アントラーズ→リーズ・ユナイテッド→オイペン(ローン)
香川真司の登場でドイツに巻き起こった「ジャポニズム」。久保裕也、森岡亮太の活躍によってベルギーにもその波が起きており、今冬、豊川雄太がオイペン、冨安健洋がシント・トロイデンに移籍した。
2人は共にユース代表経験者で、「J1での実績をほとんど持たないままの海外初挑戦」という共通点を持つが、立場は全く異なる。
U-20代表の冨安は「アジアの壁」と形容された井原正巳監督の後継者といえる選手で、兼ねてより海外移籍を報じられていた19歳の逸材だ。一方、豊川は2年前に行われたAFC U-23選手権の準々決勝イラン戦で決勝ゴールを記録したものの、リオ五輪は落選。ここ2年はJ2のファジアーノ岡山で結果を残しているが、23歳になった現在までJ1での実績はない。
そんな選手を、現在リーグ最下位に沈むオイペンが「将来の投資」ではなく、「残留の救世主」として迎えたことは大きな驚きであろう。しかも、移籍の形式は井手口陽介(レオネサ)と同じく、英2部リーズからのローンであった。
リーズは現在、元日本代表の藤田俊哉氏がアジア地域のマーケティングを担当しており、第2、第3の豊川がこれから生まれるかもしれない。
選出者:編集部H