日本での販売面でも成功しそうな車種もある

　日本の自動車メーカーは今や日本国内にとどまらず、世界各国に向けて自動車を生産、販売しているのはご存じのとおり。なかには日本よりも海外を重視しているのでは？　と勘ぐってしまいたくなるような部分もあるが、自動車メーカーとて慈善事業でクルマを作っているわけではなくあくまでビジネスであるから、売れる地域に向けて商品を拡充していくのは至極当然の流れである。

とはいえ「ああ、あの車種が日本で買えたらなあ……」とうらやましく思ってしまうような海外専売車種が存在することもまた事実。そこで今回は、日本メーカーが販売する海外専売車種のなかから3台をピックアップしてご紹介したい。

１）ホンダ・シビッククーペ

　2017年には日本市場でも復活を果たしたホンダ・シビック。日本でのラインアップはセダンとハッチバック、そしてハッチバックベースのタイプRの3タイプであるが、北米市場ではこれにクーペがプラスされた4タイプとなる。クーペは一見すると3ドアハッチバックのように見えるが、トランクは独立しており、2ドアクーペとなる点が特徴だ。

　搭載されるエンジンは、ベーシックグレードには158馬力を発生する2リッター自然吸気（NA）エンジンが用意され、それ以外のグレードには174馬力を発生する1.5リッターターボエンジンが用意される。組み合わされるトランスミッションはCVTのほかに6速MTも選べるのがアメリカ的だ。

　そしてシビッククーペ最大のトピックは、スポーツグレードとして「Si」が用意されるということ。80〜90年代のホンダを知る人には懐かしいグレード名だが、1.5リッターターボのまま205馬力まで引き上げられたエンジンに専用クロスレシオの6速MTが組み合わされ、ヘリカルLSDも装着されるというホットなもの。それでいて価格は2万4100ドル（記事作成時点で約273万円）というから欲しくなってしまう。

２）トヨタ・RAV4

　乗用車をベースとしたクロスオーバーSUVの先駆けとなったのが、1994年に登場したトヨタ・RAV4だろう。それまでSUVと言えば強固なラダーフレームを持ち、抜群の悪路走破性を持つものの、快適性はやや劣るというのが通説だった。

　しかし、RAV4はモノコックボディであり、オフロード性能はそこそこありながら乗り心地は乗用車的という仕上がりで、瞬く間に大ヒット車種となった。もし、RAV4が登場していなかったら今日のSUV人気はなかったかもしれないと言えるほど、エポックメイキングな1台だったのだ。

　そんなRAV4も海外からの要望もあって代を追うごとに大型化し、日本国内では3代目をもって販売が終了しているが、海外では2013年に4代目が登場し、現在はC-HRやオーリスにも似たキーンルックを持った後期型が絶賛発売中である。

　現行RAV4は2リッターや2.5リッターのガソリンエンジンのほか、2リッターディーゼル、そして2.5リッターハイブリッドも用意されるなどワイドバリエーション（仕向け地による）であり、トヨタセーフティセンスPも装着され、日本でも人気が出そうなラインアップとなっている。

３）日産・スカイラインクーペ（インフィニティ・Q60）

　日本を代表するスポーツセダンのひとつであるスカイライン。現行型は海外ではインフィニティブランドで販売されており、現在は「Q50」の名前で販売されている。そんなスカイラインと言えば、やはりセダンのイメージが強い一方で、流麗なフォルムを持つクーペも捨てがたい。

　明確にセダンとクーペが分けられたV35型から始まり、V36も2016年までは日本で販売されていたが、現行モデルであるV37型に関しては、2016年に海外で販売がスタートしてからも日本での発売の話はほぼ皆無と言っていいほどだ。

　エンジンは2リッターの直4ターボ（208馬力）と、新開発の3リッターV6ツインターボ。V6は300馬力仕様と400馬力仕様の2種類が用意され、トランスミッションにはいずれも7速ATが組み合わされるほか、4輪駆動仕様も用意されている。

　日本車では大型のクーペはフェアレディZを見てもわかるように、まとまった台数が売れる車種ではないが、セダンよりも塊感のあるデザインは、欧州の高級クーペにも引けを取らないはずだ。

　このように、日本では販売されていない車種も多数存在するが、なかには並行輸入という形で日本に入っている車種も存在する。どうしても欲しい場合は、そういった手段も取れるということは頭の片隅に入れておいてもいいかもしれない。無論、ディーラーでの保障やメンテナンスは難しいので万人にオススメできる方法ではないが……。