「買い替えたいけど、使えるのに捨てるのはもったいない」――家電の買い替えどきは、いつも悩ましい! そこで、それぞれの“寿命”と“買い替えどき”を専門家に聞いた。
 
「エアコンなどの場合、10年前までは家電の寿命、つまり『買い替えどき』を明言できましたが……今はあってないようなものなんです」
 
“家電の寿命”を聞きにいくと、IT・家電ジャーナリストでオールアバウトガイドの安蔵靖志さんはこう苦笑した。
 
「約10年前までは省エネの進化が著しく、消費電力に劇的な変化がありましたが、現在は進化しきった感があります。数年前の製品と最新家電を比べても省エネ性能はあまり変わらない。今は“壊れたときが買い替えどき”の時代です」(安蔵さん・以下同)
 
10年以上前に買ったものでなければ、“壊れるまで使い続けろ”ということ……?
 
「“長年使うと危険”というものが家電にはあまりないので、性能に不満がなければそれでも大丈夫。ですが、そうなると永久に買えませんから、迷ったときに参考にしたいのが“補修用性能部品の保有期間”(以下・保有期間)です。電化製品の部品は“製造終了後にメーカーが保管しなければいけない期間”が法律で決まっています。この期間内であればメーカーが部品を持っているため、壊れたら修理ができます」
 
保有期間は公益社団法人「全国家庭電気製品公正取引協議会」が定めており、ホームページに一覧が載っている。
 
「買い換えを考えたらまず、この期間が過ぎているかをチェック。期間内ならまだ寿命は先ですし、壊れていれば修理もできます。過ぎていたなら、それぞれの特徴を考えながら買い換えを検討してみては」
 
さっそく、家電別に買い替えのポイントを聞いた。
 
■冷蔵庫
 
まずは、冷蔵庫。保有期間は9年だ。
 
「実は、冷蔵庫は省エネ競争がまだ盛んな分野です。最新モデルは10年前の商品より30〜40%ほども省エネになります。10年以上前の冷蔵庫を使っているなら、電気代がかなり安くなる可能性があるので、買い替えをおススメします」
 
■エアコン
 
次は、この季節に欠かせないエアコン。
 
「エアコンの保有期間は9年ですが、10年前くらいの製品ですと、現行モデルとの消費電力の違いは20%ほどです。最近の流行はAIの搭載。人間がいる場所だけを心地よい温度に保ってくれます。また、お掃除機能がついているものも増えました。十数年以上使っていてニオイが気になるなら、買い替えを検討しても」
 
■洗濯機
 
大型白物家電でいちばん保有期間が短いのが洗濯機。
 
「タテ型の洗濯機はあまり壊れないので、長く使いがちです。注意すべきは自動洗浄機能の有無。この機能がなく、洗濯槽の掃除をしていない場合、カビの温床となっている可能性が高いです。この状態で10年以上使っているなら、カビだらけなので、買い替えたほうがいいでしょう」
 
■テレビ
 
最後に、保有期間8年のテレビ。
 
「最近は8Kという超高画質も出てきて、壊れる前に買い替える人が多いですが、目安となるのは製造年。'09年以前に購入したテレビはバックライトに蛍光灯を使用している場合が多く、画面が暗いんです。それ以降のものはLEDなので、明るさが違います。テレビが暗いと感じたら、製造年をチェックしてみては」