24日の第62回有馬記念で、ファン投票1位のキタサンブラックはラストランを迎える。13日放送、MBS「戦え!スポーツ内閣」には、騎乗する武豊騎手が出演。有馬記念での勝利を誓った。

ファン投票で選ばれたスターホースが集まり、日本の競馬界の1年を締めくくる有馬記念。国内最高額の3億円という優勝賞金が用意される国民的イベントだ。武も「競馬関係者全員(にとって)、別格の雰囲気」と語るグランプリでは、これまでさまざまなドラマが生まれてきた。

番組のアンケートでファンが歴代2位に選んだ思い出のレースは、オグリキャップが引退レースで奇跡の優勝を遂げた1990年。雨上がり決死隊の蛍原徹、そして間寛平と、芸能界の競馬ファンにも鮮烈な印象を残したレースだ。

日本中に競馬ブームを巻き起こしたオグリキャップは、1990年のジャパンカップで11位となり、「オグリは終わった」とも言われていた。だが、17万人のファンが集まった有馬記念、4番人気だった武騎乗のオグリキャップは、王道のレース展開から見事に優勝。引退に華を添えた。

武によると、調教での動きは良くなかったという。そのため、当初は勝てると思っていなかったそうだ。レース前にも気が抜けた感じがあったため、軽くムチで首をポンポンと叩き「おい、お前オグリキャップやからな」と声をかけたとのエピソードを明かしている。

当時調教師だった父が「一回くらい先頭に立ったらファンが喜ぶん違うか」とこぼしたのを耳にした武は、ファンのために「普通にオグリのレースを」と、意図的に全盛期の戦い方を選択。そして見事に勝利を手にしたときは、「すごいこの馬」と感動したという。

一方で、ファンが歴代1位に選んだ思い出の有馬記念は、やはり武騎乗のディープインパクトが制した2006年のレース。前年の有馬記念で国内での唯一の黒星を喫していたディープインパクトは、オグリ同様に引退レースとなった有馬記念でリベンジを果たした。

圧倒的な強さで雪辱したレースについて、武は「正直これは勝つと思っていた」「無事に走れば間違いなく勝てると思っていた」と、レース前から手ごたえがあったと明かす。走りたがるディープインパクトを抑えていた武は、第4コーナーに差し掛かったところでゴーサイン。一気に先頭に躍り出ると、あとは流す余裕すら見せた。

自身の2度の優勝を振り返った武は、現役最強馬キタサンブラックの引退レースとなることしの有馬記念に向けて「本当に勝ちたい」「僕が一番期待している」と、昨年の有馬記念で敗れたキタサンブラックを雪辱に導きたいと意気込んだ。

「僕にとってもただの有馬記念ではなく、キタサンブラックの引退レース。その大きさ、責任の重大さは感じている」という武は、最後に「勝ちます」と勝利を宣言した。