13日放送、フジテレビ「THE NEWS α」では、プロ野球のセ・リーグで優勝した広島東洋カープの主力・菊池涼介(27)と、今季一軍での出場がなかった赤松真人(35)の友情について伝えた。

2010年の「スパイダーキャッチ」が話題となり、昨年は代走の切り札として25年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した赤松。だが、昨年末に胃がんを公表し、ことし1月には胃の半分を摘出する手術を受けた。しかし、その後リンパ節への転移が見つかり、ステージ3と判明した。

それでも、早期復帰を優先し、抗がん剤での治療を選択した赤松は「(抗がん剤の)やり始めはすごくしんどくて寝たきりになってしまう」とその過酷さを明かした。だからこそ、徐々に動けるようになってからは「普通に動ける喜び、普通に生きている感謝が強くなった」と述べる。

そんな赤松に陰ながらエールを送っていたのが、赤松が「お互いにいたずら好きで気が合う」と言う菊池だ。帽子の裏には赤松の背番号38を記し、いつも赤松が座っていた席に先輩のユニフォームを置き、それを見てから試合に臨んでいたという。

赤松は後輩の想いに「そういうことをしてくれることによって、僕の存在が消えない」と喜びあらわ。「すべてにおいて、すごく励まされた」と菊池に感謝した。

菊池たちの願いが通じたのか、赤松は7月11日に3軍の練習に参加。9月には2軍の練習にも参加するようになった。赤松は「がんが見つからなかった僕はもう普通に死んでいた。生きていることが重要だと思う」と、今を生きる姿勢を示した。

広島はクライマックスシリーズで横浜DeNAベイスターズに「下克上」を許したものの、ペナントレースでは37年ぶりとなるリーグ連覇を果たした。

9月18日に優勝を決めたとき、グラウンドでファンと喜ぶチームの中で、赤松は「何も貢献していないという意識があるので、ちょっと申し訳ないという気持ち」があったそうだ。だが、菊池が「そんなん何も思わんでええ」と、一緒に手を挙げるなどして喜んでくれたことで「すっと入れた」という。

現在、赤松は2軍の練習に参加し、ひとつの目標としていたマシン打撃もこなせるようになった。「4カ月前に想像できなかった回復、身体の動きなので、今は本当に楽しい」と充実ぶりを明かす。だが、回復した筋力はまだ50%。過去、プロ野球で胃がんから復帰した例はない。

それでも、広島は11月8日に赤松との契約を更改した。菊池も「戻ってきてほしい。僕はずっと待っていますから」と、復活に向けてエールを送る。その菊池の気持ちに応えるためにも頑張りたいという赤松は、野球への想いを強調した。

「普通に野球がしたい。まずそこです。野球ができたら何も文句はない」