旬の生ピーナッツが人気だ

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【あさイチ】(NHK)2017年11月6日放送
ピーナッツ・見直される実力! 病気・老化の原因除去

日本ではおやつや酒のつまみに食べられることが多いピーナッツ(落花生)。近年、欧米では論文が4000以上も出されるほど、健康長寿の食材として注目を集めている。ハリウッド女優やトップモデルたちにもダイエットのために日常的に食べる人が多い。

秘密はピーナッツの薄皮に含まれる特殊なポリフェノール。病気や老化の元凶となる活性酸素を除去してくれるのだ。番組では効果がアップするレシピの数々や今ひそかにブームとなっている生ピーナッツの食べ方を紹介する。

細胞の遺伝子にまで働き、若返り効果が

ナッツ類の栄養を研究している慶応義塾大学教授の井上浩義さんは、この20年間、健康のために毎日3食ピーナッツを食べ続けている。そのせいか、56歳だが髪は黒々、顔はツヤツヤで若々しい。番組では冒頭、ピーナッツにつきものの3つの「悪いイメージ」について、井上教授に聞いた。

(1)ピーナッツは太る。

(2)ニキビ・吹き出物が出る。

(3)鼻血が出る。

柳澤秀夫解説委員「この3つは小さい頃から聞かされてきました。今さら、ナシにして健康食品ですよと言われても、にわかに信じられません」

井上教授「ピーナッツは半分が油ですから、カロリーが高いのは事実。しかし、オレイン酸という良質な油なので脂肪になりにくい。臨床研究が進められた結果、太るということはありません。ニキビなどについては、思春期にはどの油も摂りすぎては吹き出物が出ます。大量に摂りすぎない限り大丈夫です。鼻血については、チョコレート同様、まったく根拠がありません」

井上教授によると、ピーナッツの抗酸化力は同じナッツ類のアーモンドやクルミなどと比べ、3〜4倍も高いことがわかってきた。そのパワーの秘密はピーナッツの薄皮にある。薄皮はポリフェノールの宝庫で、中でも海外の研究者に大注目されているのが「レスベラトロール」だ。普通のポリフェノールは、体の細胞の中には入れない。細胞の外側で老化や病気の原因となる活性酸素から細胞を守っている。

ところが、レスベラトロールは細胞膜を通り抜け、細胞の中にまで入り込む。細胞内の活性酸素を退治するばかりか、遺伝子に直接働きかけて老化のスピードを緩めてくれる。体の中から若返り効果が期待できるのだ。ただし、レスベラトロールはピーナッツの実にはほとんどなく、薄皮に多く含まれている。だから、皮ごと食べるのがコツだ。

1日20〜30粒が適量、午前中に食べると効果アップ

井上教授「欧米では、ピーナッツは1日に80粒までが目安になっていますが、日本人には1日20〜30粒が適量で、十分健康効果が上がると思います。食べ方のコツは午前中に食べること。人間の体は朝が最も酸化しやすいので、吸収のよい朝ご飯の前にピーナッツをポリポリ食べると、ポリフェノール効果がバツグンです。また、ミキサーで粉末にすれば、サラダのドレッシングやお鍋のだしなど、さまざまな使い方ができます」

ピーナッツの生産量が世界一の中国では、中華料理の食材にピーナッツが使われてきた。薬膳料理研究家の新開ミヤ子さんが、この冬イチバンのオススメとして「ピーナッツのお汁粉」レシピを紹介した。家でも簡単に作れるうえ、たった1杯で1日に必要なピーナッツの量20粒が摂取できる。

【ピーナッツのお汁粉】

(1)材料・10人分。

薄皮付きピーナッツ200グラム、水800ミリリットル、黒砂糖大さじ2分の1、塩適量。

(2)作り方。

1:厚手の鍋に薄皮付きピーナッツと水を入れ、一晩水につけて軟らかくする。

2:強火にかけ、沸騰したら弱火にして、フタを閉めて約30分煮る。

3:ミキサーに煮汁ごと入れて滑らかにする。

4:お好みの濃度になるように水を入れてのばし、黒砂糖で甘みをつける。最後に塩を入れ、味を調えて出来上がり。

スタジオで出演者一同が試食した。

井ノ原快彦キャスター「甘くて美味しい! ピーナッツのまんまの味ですね。何杯もいける感じです」

続いて、井上教授が日常よく作っているドレッシングと鍋の作り方を紹介した。

ピーナッツの粉末でドレッシングと鍋の出し汁

【ピーナッツのドレッシング】

(1)材料・2人分

薄皮付きピーナッツ12粒、エゴマ油20グラム、塩適量、黒こしょう適量。

(2)作り方

1:薄皮付きピーナッツをビニール袋に入れ、スリコギでつぶして粉末にする。

2:エゴマ油と合わせる。

3:塩、黒こしょうをふって出来上がり。保存しておくと色々な料理に使える

【ピーナッツ鍋】

(1)材料・4人分。

薄皮付きピーナッツの粉末20グラム、かつおだし400ミリリットル、鶏むね肉320グラム、白菜220グラム、にんじん60グラム、小松菜80グラム、豆腐1丁、塩適量。

(2)作り方。

1:フードプロセッサーなどでピーナッツの粉末をつくり、かつおだしと合わせる。

2:出し汁の中に、野菜、肉、豆腐を入れて煮る。

3:塩で味を整えて出来上がり。

番組の遠藤亮アナが井上教授の自宅を訪問、教授に作ってもらい、家族と一緒に試食した。

遠藤亮アナ「このダシは何を入れても合いますね〜。ピーナッツの油がしみ込んで、鶏のむね肉がやわらかくなって美味しいです」

最近、ひそかなブームとなっているのが、旬のピーナッツを殻ごと買って食べる「生ピーナッツ」だ。都内のスーパーで1日100パック売れることもあるという。中でも一番人気なのが千葉県産の「おおまさり」。ゆでピーナッツ専用で、甘みが強く、実が大粒で、柔らかいのが特徴。にある日本で唯一の落花生研究機関、千葉県農林総合研究センター・落花生研究室(千葉県八街市)で、13年かけて生み出された品種だ。研究員の蜂谷隆行さんがこう語った。

蜂谷さん「今年は特に甘くておいしいおおまさりが収穫できました。美味しさを堪能するには、ゆでて食べるのがイチバンです。水に塩1割で、40〜50分ゆでるのがコツです。途中で一度出してゆで具合を確かめます。ほっこりとした甘みが楽しめます。そのままつまんでもいいし、サラダなどに入れてもいいです」

スタジオで出演者一同が試食した。

柳澤解説委員「う〜ん、朝からコレ(酒を飲む手振り)がほしくなるね(笑)」