本田、香川、岡崎…海外メディアがビッグ3限界論 世代交代に抗う「神聖な三叉の槍」

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従来の主役たちに起きた変化を特集 「アジア最大のビッグネームだったが…」

 日本代表は8月31日のロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選、本拠地オーストラリア戦で2-0勝利を決め、6大会連続の本大会出場を決めた。

 世界で4番目のスピード出場決定となったチームで主役になったのは、シュツットガルトFW浅野拓磨とガンバ大阪MF井手口陽介という若手コンビだった。

 これまでチームを牽引してきたパチューカFW本田圭佑、ドルトムントMF香川真司は出番なしとなり、レスターFW岡崎慎司は試合終盤での出番になった。海外メディアはビッグスリー時代の終焉を報じている。

「日本のビッグスリーが道を譲る時」と特集したのは「FOXスポーツ電子版」。本田、香川、岡崎という従来の日本サッカーの主役の身に起きた立場の変化にスポットライトを当てている。

「長き間、サムライブルーの攻撃陣にはビッグ3が存在した。欧州を起点に活躍する神聖なる三叉の槍、ケイスケ・ホンダと、カガワとオカザキの二人のシンジはアジアで尊敬され、羨望の眼差しを送られていた」

 欧州屈指の名門ドルトムントで香川は活躍し、2シーズン前のプレミアリーグ王者レスターで岡崎はレギュラーを守っている。本田は欧州の舞台から姿を消したが、昨季まで3年半ACミランで背番号10を背負っていた。

「欧州で誰もが浮き沈みを経験したが、彼らはアジアフットボールの3つの最大のビッグネームだった。だが、木曜にオーストラリアとの重大な試合で日本は勝利を挙げ、来夏のロシアにチームは導くことになった。最大の問題は、このトリオのうち誰も意味のある形で起用されなかったことだ」と記事では報じられている。

本田と岡崎、不遇の一因に指摘されたのは…

 本田はこの試合前から右ウイングのレギュラーの座を失っていた。パチューカに移籍したが、右ふくらはぎ肉離れの影響で今季リーグ戦は2試合途中出場したばかりとあって、試合勘に不安を残していた。香川はハリルジャパンのレギュラー格だが、6月のアジア最終予選シリア戦で左肩を脱臼。それにより今季キャンプで出遅れ、リーグ戦2試合連続スーパーサブ役だった。

 本田と香川はコンディションが万全でなかったものの、岡崎はレスターで今季開幕2試合連続ゴールと活躍。日本代表の誰よりも高いパフォーマンスと結果を出しているが、ハリル監督は故障明けのケルンFW大迫勇也を先発で起用。岡崎に出番が訪れたのは試合終了間際で、短いプレー時間しか与えられなかった。

 そして、ハリル監督はアジア中が恐れるビッグ3を差し置いて浅野、井手口を抜擢。その期待に応えるように二人がゴールを決める活躍を見せ、采配が見事に奏功している。

 本田と岡崎の不遇の一因として「年齢」を挙げている。「本田と岡崎はロシア大会がキックオフする頃には32歳となる。サッカーの世界では経験やベテランという言葉の間に漂う年代だ。どんな監督は若き血を求め始める」と指摘している。

「これだけは間違いなく言える」と断言

 また、本田については出場機会の欠如を問題点に挙げている。本田は昨季ミランでほとんどピッチに立つことができなかった。「ハリルホジッチが警告していた通り、代表チームの居場所を失う可能性があった。メキシコのパチューカに最近移籍した一因でもある」と報じている。

 香川については、ドルトムントでの不安定なパフォーマンスを指摘している。昨季は不遇の前半戦と爆発の後半戦と明暗がくっきり分かれていた。

「カガワ、オカザキ、ホンダは、もはや日本にとって自動的な選択肢ではない。彼らの代表のキャリアの終焉を意味するものではないが、これだけは間違いなく言える。日本で世代交代は始まっている」と、ビッグ3時代の終焉は近づいていると総括している。

 海外メディアから厳しい視線が注がれるビッグ3。サムライブルーでの限界論を跳ね除けるような意地を見せたいところだ。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images