27日、TBS「消えた天才〜一流アスリートが勝てなかった人 大追跡〜」では、甲子園史上最高の成績の残した天才ピッチャーとして、西日本短期大学附属で1992年の甲子園を制した森尾和貴氏の現在に迫った。

この年の甲子園では、元星稜・松井秀喜氏の5打席連続敬遠が大きな話題となったが、森尾氏は決勝までの5試合を一人で投げ抜き、失点は僅か1点のみ。防御率は（1974年の金属バット導入後）甲子園史上最高となる0.20だった。

VTRで登場した同校の先輩・新庄剛志氏は「松井君の5打席連続敬遠も衝撃でしたけど、それくらいすごいピッチャー。でも映像観るでしょ。『え、何がすごいの？』。なんで打てないんだろうっていうピッチャーなんですけど打たれない」などと説明。「森尾のことを知らない福岡人はいない」とまで言い放った。

あれから25年、現在43歳になった同氏は、新日鉄住金の八幡製鉄所に勤務。「もともとプロ野球選手になるというのが小さい頃の夢」といい、実際に福岡ダイエー（当時）や巨人から誘いがあったとしながらも、「（甲子園は）自分の実力以上のものを出せてた期間。優勝という結果は残せたんですけど自分自身の実力を継続する自信がなかった」として、実力をつけるべく社会人野球へ進むことを選んだという。

だが、23歳になった森尾氏は肘を故障。「肘の骨が変形して神経を圧迫しているということで箸も握れないくらい握力がなくなって手術に踏み切った」と明かすと、同氏は松井氏がヤンキースに移籍した2003年に現役を引退。「プロの世界を経験したかったというのはある」としながらも、「日本でここまで練習しているのは僕以外にいないだろうというくらいまでやったので、あの時こうやっておけばよかったとか、あとで考えても全くそういうふうに思わない。本当に悔いはない」と語った。