2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック(以下東京2020大会)ですが、選手たちが争うメダル、その材質を考えてみましょう。最近の2016年のリオデジャネイロ大会の金メダルは純金6gと純度92.5%の銀494gで作られたものでした。これはさらにその前の2012年ロンドン大会の金メダルの重量より21%重いものであり、歴代オリンピックの中で一番重い金メダルとして記録され話題となりました。(イメージ写真提供:123RF)

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■都市鉱山から作られる金メダル
 
 2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック(以下東京2020大会)ですが、選手たちが争うメダル、その材質を考えてみましょう。最近の2016年のリオデジャネイロ大会の金メダルは純金6gと純度92.5%の銀494gで作られたものでした。これはさらにその前の2012年ロンドン大会の金メダルの重量より21%重いものであり、歴代オリンピックの中で一番重い金メダルとして記録され話題となりました。
 
 このように今後開催国では話題作りのためにも特徴ある金メダルの製作を考えていくかもしれません。東京2020大会のメダルについての考えはどうでしょうか。公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)の発表では「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」です。
 
 同組織委員会では、個人所有や家庭にある家電などから貴金属を回収しメダルとして製作するプロジェクトをスタートさせました。このような取り組みはオリンピック・パラリンピック史上初の試みであり、リサイクル率100%を目指して約5,000個のメダルを製作する予定とのことです。
 
■具体的なメダル製作のプロセスなど
 
 具体的なメダル製作のプロセスは下記のようになります。
まず、家庭にある携帯電話、タブレットなどの電子機器を近くの回収場所(全国のドコモショップ)で渡します。もしくは、各自治体で案内されている方法に従って回収をお願いすることが出来ます。場合によっては無料の宅配便を利用することも出来るようです。こうして回収された家電は分別・分解・そして精錬作業を経て金・銀・銅メダルに生まれ変わります。
 
 2017年4月からスタートしたこのプロジェクト成功の可否についても関心が高まってきています。もっと簡単な回収の仕組が必要という声もあり、多くの人々の参加が望まれるプロジェクトであるため、このプロジェクトに対する認知度に対する心配もあると思います。
 
 しかし楽観的な点は、日本の都市鉱山は世界的にみても大規模であるところです。世界各国の小型家電に含まれている金の量をみると日本が約16%を占めているといわれています(銀は22%)。また、不要になった家電を破棄する際にも廃棄費用がかかる現状を考えると、便利な回収システムが整えられればプロジェクトへの機器提供を検討したいと考える人は多くなると考えます。
 
■世界に示す可能性
 
 今回のプロジェクトで日本が環境を配慮するイメージを世界にアピールできるチャンスになるかもしれません。また金の供給やメダル製造過程において、都市鉱山という概念を人々が実際に体験しながら学んでいくことができる機会でもあります。またリサイクル率100%の目標を達成すれば日本の都市鉱山の規模・技術・国民性に対する評価も高まると思われます。
 
 最も注目されている種目は「体操競技」と言われることが多いですが、「格闘技(レスリング、柔道)」「陸上競技(トラック・投てき・跳躍)」「球技(テニス・サッカー・バレー)」なども日本の注目度は高いと思います。 東京2020大会では、このようなリサイクルを経た金・銀・銅のメダルをいくつ日本が獲得できるか楽しみです!
 
【参考にした資料】公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト

(イメージ写真提供:123RF)