海外で人気があると言われている日本のアニメ。「ジャパニメーション」という呼び名も浸透しつつありますが、世界的プログラマーの中島聡さんは自身のメルマガ『週刊 Life is beautiful』で、「ディズニーが宮崎アニメの独占的な配信権を持ちながら本気で売り出さないのは、ディズニーやピクサーを超えて欲しくないから」と推察。さらに、Netflixが今後日本のアニメの立場を大きく変える可能性についても指摘しています。

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● Netflixは日本のアニメをどう変えるのか?作品とクリエイターのグローバル化の行方

2015年に日本に上陸した Netflix は、当初から日本のアニメのグローバル配信に興味を示していましたが、今年の8月の「Netflix アニメスレート2017」というイベントで、数多くのオリジナルタイトルを一気に発表した、という報道です。

日本のアニメは、ドラゴンボールやアキラを筆頭に海外に根強いファンを持ちますが、ディズニー・アニメなどとと比べると売上で一桁以上の違いがありました。

例えば、ディズニーの Frozen の総売上は $1.2 billion ですが、千と千尋の神隠しは $0.25 billion です。どちらも米国での配信はウォルト・ディズニー社が行ないましたが、公開日の上映スクリーンの数に圧倒的な差があり、その段階で勝負は付いていた、とも言えます。

ディズニーが宮崎アニメの配信の米国における独占的な配信の権利を持ちながらも、本気で売り出さないのは、ディズニーやピクサーのオリジナルコンテンツ以上に成功して欲しくないからであり、あえて「飼い殺し」にしていると私は解釈しています。Toy Story のピクサーに関して、映画配信で育てた後に高い値段で買収することになりましたが、その失敗を繰り返したくない、というのもあったと思います。

その意味では、今回の Netflix のケースは非常に魅力的です。製作は、日本の制作委員会が行ない、Netflix がグローバルな配信権利を購入してオリジナル・コンテンツとして配信するという、なかなか良いディール(=座組み、契約形態)のように思えます。

Netflix 自身は映画製作はしない会社だし、Netflix としては日本のアニメを使って世界中のアニメファンを Netflix の会員にすることを狙っているので、ディズニーのように飼い殺しにすることはありません。

たまたまタイミングが重なりましたが、ディズニーが2019年からは Netflix へのコンテンツの提供を辞め、独自の配信サービスを行うと宣言したことも、追い風になると思います。

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出典元:まぐまぐニュース!