積水化学、塩化ビニル製品など15%以上値上げ、製造関連の値上げ傾向続く

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 積水化学工業は21日、塩化ビニル・ポリエチレン製品の価格を、5月22日(月)出荷分より15%以上の値上げをすると発表した。昨年からの原油価格の上昇は、値上げの圧力となっている。

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 今回の値上げは、原油・ナフサ価格の高騰や海外市況の変化と、添加剤などの材料費や物流費の上昇などが要因という。コスト削減や効率化の限界を超えたため、今回の値上げに踏み切った。

 積水化学に限らず、産業界の値上げ発表が相次いでいる。4月に入ってからは三菱ケミカルが、食品包装用フィルムに使用される共押出多層フィルムを値上げしている。東ソーは機能性ウレタンを10%以上、住友ゴムは国内市販用タイヤを6%以上値上げした。

 ニューヨーク原油先物(WTI)は2016年に約40%上昇し、最も安値を付けてからだと2016年末までは倍以上となっており、現在も高値水準を維持している。原油価格の上昇は、石油製品を生産する企業以外にも影響を与えている。コーンスターチや水あめなどの糖化製品を製造する昭和産業も値上げを発表しているが、原材料となるトウモロコシの輸入に加えて、エネルギーコストの上昇も要因だ。原材料や製品の輸送、工場の稼働など、原油価格の変化は物流やエネルギーコストとして影響を受ける。

 企業各社の値上げ発表が続いている中、イオンは11日に値下げを発表した。毎日の生活に必要な商品を、最大254品目値下げするという。2016年11月からすでに値下げを実施しており、追加の値下げとなる。物流の効率化や原料調達先の見直し、メーカー各社からナショナルブランド商品の一括仕入れなどの企業努力を徹底してコストを削減する。

 製造業など常に原材料価格の上昇や為替変動の影響にさらされてきたため、限界まで効率化を図っている企業も多い。さらなる効率化を図ることが必要とはいえ、即効性を期待するのは難しそうだ。今後製造業が値上げをした余波が小売業などに広がり、徐々に個人レベルまで到達する可能性は高そうだ。