保険を売らずに「素」の自分を売れ
■本業は保険ではなく「水木」業
札幌支社、水木仁さん(エグゼクティブ・ライフプランナー)に仕事観について尋ねてみると、「『水木』という商売をしていて、生命保険販売は副業みたいなもの」と答えてくれました。保険以外の頼られごとに応えるのが本業だと考えているそうです。
恩義やご縁に対しては、より大きくして返す。それは金額でなく、感動の大きさだという水木さん。いい意味で「裏切る」ことも、人の記憶に強く残るので、さらにいいとのことです。
「あるコーヒーチェーンに全国的に大人気のデカいスイーツがあって、つくっているのが大学の同級生なんです。普通は1カット単位で売っていますが、彼に注文して1ホールまるごとお客さんに送ったりもしました。そういうものが届くと相手はびっくりするでしょう? その『えー!?』とか『わー!』という反応が、営業としては嬉しい」
これまでに十数名の後輩を指導してきた水木さん。「ライフプランナーは生き方が問われる」という考えから、セールスを離れた場でのちょっとした振る舞いにも目を配っているそうです。
「たとえば、若手を鮨屋に連れて行くと、みんな握りなどを頼みますよね。その途端に僕はうんざりして、こんなことを言ってしまうんです。『なんで鮨屋で鮨を食ってるんだ?』『え? 鮨屋って鮨を食べるところじゃないんですか?』『違うよ。そば屋に行ってあえてそばを食わないで、店の主人と言葉を交わしながらじっくり酒を飲むことがあるだろう。なんでそういう思考ができないんだ』って。
必死で鮨食って、僕や主人と何一つ喋らない。『美味しい鮨を食いに来ました』と目的意識だけが先行しているんですよ。
保険屋が保険を売るのも同じ。誰から買っても同じような商品をどうして自分から買おうとしているのか、そこが大事なところじゃないですか」
■自分の葬式にどれだけお客さんが来てくれるか
「最近、売れているベテラン連中とよく話題にするのは、長寿番組として有名だったタモリさんのお昼のバラエティが『どうして30年も続いたのか』ということ。あれは、仕事として義務的にこなしているんじゃなくて、スタジオに遊びに来て好きなことを素でやってる感覚だからでしょう。ふざけたことばかりしていても、視聴者に受け入れられていたと思うんです。
セールスパーソンもまったく同じです。素の自分を楽しむ感覚がないと、お客さまに受け入れられませんし、長く続けてもいけません」
水木道場は、やはり「素」の大切さが一貫したテーマのようです。そのためにも普段の暮らしを大切にしなくてはならない。そう力説します。
「仕事を長く続けていくためには、それまで何をしてきたか、毎日どんなことをしてるかが問われるんです。だから、『生き方だよ』と後輩たちに言うんですよ。生き方というものは、パッと装うことなどできません。取り繕ってもお客さんからは見え見えですから。
逆に、うちでトップの連中というのは、初めて会った瞬間に、お客さんが感動しているはずです。『素』であればこそ、ふだんの生き方がちゃんとわかる。
だから将来、自分の葬式にどれだけお客さんや友だちが来てくれるかで、セールスパーソンとしての真価が明らかになるのだと思います。そのために、単なる流しのような仕事はしたくないし、死ぬときを一番のピークにもっていきたいですよね」
※本連載は書籍『アメリカ本国を驚愕させたプルデンシャル生命の「売る力」2』からの抜粋です。
(プルデンシャル生命保険フェイスブック(日出ずる国の営業)運営事務局=編)