立ち上がりから球際で戦い、ゲームの主導権を握った。 写真:川本 学

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[J1リーグ3節]G大阪3-0FC東京/3月11日(土)/吹田S
 
 会心のゲームと言っていいだろう。G大阪は開幕2連勝のFC東京を3-0で下し、今季ホーム初勝利を挙げた。
 
 特筆すべきは、チーム全体が連動したプレスだ。今野泰幸と倉田秋の両インサイドハーフを筆頭に、アンカーの遠藤保仁、3バックが連動してボールホルダーにプレッシャーをかけ、FC東京に攻撃の形を作らせなかった。
 
 過去2年間勝利なしと分が悪い相手だけに、少なからず不安はあったと今野は明かす。もっとも、逆にそれが「危機感にもなって、立ち上がりから気持ちを入れてやれた」と続ける。確かに、球際に激しく行き、より戦う姿勢を見せていたのは間違いなくG大阪であり、セカンドボールの回収率も高かった。最後まで全員のハードワークが途絶えず、トラッキングデータでも、走行距離(116.599km対114.839km)とスプリント回数(194回対185回)ともにFC東京を上回っている。
 
 前節の柏戦から、ボールを奪った後のショートカウンターが増えている点も見逃せない。“無双状態”のアデミウソンに続き、今野や倉田が長距離を駆け上がり、攻撃に厚みを生んでいる。対峙する守備陣からすれば、アデミウソンを潰せば止められる状況ではなくなっているのは非常にやっかいだろう。
 
「3バック(システム)は良い感じですよ。特にプレスがね。しっかり前からプレスに行って相手を自由にさせていないし、奪ってからのショートカウンターも増えている。もしスパッと(縦パスを)入れられてもみんな戻りが早いから、なかなか隙ができない。一番後ろにはスーパーな東口がいるんで、彼にも助けられましたね」(今野)
 今季初めて3バックを採用したACLの済州ユナイテッド戦からわずか10日。大敗を喫したのが嘘かのように攻守が噛み合い、長谷川健太監督も「もう言うことはない」と選手たちを称賛する。今野は復調の要因をシンプルに「メンタル」の改善だと語る。
 
「やっぱりメンタルじゃないですか。ACLでボコボコにやられて、目が覚めたというか。(前節の)柏戦でがむしゃらにプレスをかけて結構ボールを奪えたので、(プレッシャーをかけに)行けば相手も嫌がるんだなと言うのが分かったし、今日も立ち上がりから良いプレスがかけられたのが勝因になったと思います」
 
 勝負強い戦いぶりに、「ようやく本来の姿ですね」と問いかけると、今野は「いや、ニューガンバって感じですね。だって、俺が左サイドをやってるんですよ(笑)。ニューガンバでしょ!」と冗談めかした。しかし、プレス+ショートカウンターという新しい武器を手にしつつあるのだから、その言葉もまんざらではないだろう。『勝』をチームスローガンに掲げ、タイトル奪還を誓う14年覇者にようやくエンジンがかかってきた。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)