本日(2月22日)より、国立新美術館(東京・六本木)において展覧会「草間彌生 わが永遠の魂」 が開催されております。


前衛芸術家として時代の最先端を走り続ける草間彌生という天才作家の活動に目を向け、貴重な未発表作品、代表作の数々を織り交ぜ、初期から現在にいたるまでを過去最大級の規模で余すところなく紹介しているこの展覧会。

昨日、同展のプレス内覧会が開催されております。当然、記者も行ってきました! ……というわけで建物を目指すべく坂を登っていると、まずはこんな光景が広がります。



草間彌生の個展として過去最大級


国立新美術館は1月に開館10週年を迎えており、同展は開館10周年を記念する展覧会シリーズの第一弾。草間さんの大規模な個展は都内では13年ぶりだそうです。
どれくらい大規模かというと、約240点の作品、それに加えて約30点の書籍が展示されているとのこと。
「これだけの規模の草間さんの個展というのは、恐らくこれまで開かれたことはないのではないかと思います。過去最大級の個展と言ってもいいのではないでしょうか」(国立新美術館・南雄介副館長)



今回の展覧会の大きな特徴は、全体が2部構成になっていること。第1部は、その名も「21世紀の草間彌生」。今世紀に入ってからの草間さんの芸術制作を紹介する、言うなれば新作展というか近作展にあたる部分です。



現在の草間さんの活動の中心を占めているのは、絵画作品。「わが永遠の魂」という絵画のシリーズの制作を草間さんは2009年より始めており、現在もなお制作中です。
「先日伺ったところによると520作目まで完成されたということなので、7年余りで500点以上。ということは、年間70点くらいですね。草間さんは基本的にはウィークデーにスタジオに通って制作すると伺っているので、そうするとだいたい2〜3日に1点のペースでこの絵画を描いていらっしゃるということになります」(南副館長)
今回は520点の中の約4分の1、130品が出展されています。これだけの規模、これだけの数の「わが永遠の魂」が並ぶというのはこれまでで初めてのこと。さらに今回出品されている130点はすべて、日本で公開されたことのない作品です。
「草間さんには70年にわたる前衛芸術家としての活動があるわけですが、その中で様々なスタイルやモチーフが出てきました。有名なものでネット・ペインティングがありますし、水玉のパターンは非常に有名です。そういった様々なモチーフやスタイルが『わが永遠の魂』シリーズからは随所に認めることができると思います。そういう意味では、草間さんの今までの活動の集大成、代表作と言っていいシリーズになるかと思います」(南副館長)



「このシリーズ、今回はなるべくたくさん見ていただきたいというのもありますし、作品の特徴を見ていただきたいというのもあるので、新美術館の大きな展示室の広い壁面に全く間隔を置かずにピッタリくっつけて展示しております」(南副館長)
作品ごとにバリエーションが豊かで、抽象的なものもあるし、具象的なモチーフのものある。作品によって様々なモチーフがあり、それらを組み合わされた形で目の当たりにすることができます。

50年代から20世紀いっぱいまでの活動を紹介する「20世紀の草間彌生」


2部構成となっている同展の第2部は、その名も「20世紀の草間彌生」。草間さんの50年代から20世紀いっぱいまでの非常に長い活動を紹介する、言わば回顧展のような性格が第2部にはあります。

入り口のゲートから順路を進んでいくと、そこに広がるはまさに草間さんの歴史。


1929年に松本市に生まれ、松本で活動していた50年代からすでに新進芸術家として注目されていた草間さん。


57年にはアメリカに渡り、58年からニューヨークで活動を始めます。このニューヨーク時代は1958年〜73年まで15年間に及んでいますが、ニューヨーク時代の中で最初に注目されたのは「インフィニティ・ネット」でした。細かい網の目のストロークで非常に大きな画面を埋め尽くした作品です。




その後、色んな家具、ボート、男性器を思わせるぬいぐるみの中に詰め物をした突起をびっしり貼り付けたようなものや、マカロニを使った性や食に対するオブセッションを表現した「ソフトスカルプチャー」があります。




その後に発表されたのは、パフォーマンスアート。「ハプニング」というタイトルの屋外におけるヌードパフォーマンスなど、スキャンダラスな活動もありました。


その後、73年に帰国して東京を基盤に活動を再開。70年代には、非常に素晴らしいコラージュの作品が作られおり、また小説を書くなど文学者としての活動を開始したというのも大きな特徴です。



「宇宙」「死」「愛」といった普遍的なテーマを加えることによって、草間さんの80〜90年代の大規模な作品というのは色々と変貌を遂げていきます。カラフルになり、象徴的な意味を加えてきたという側面もあります。










このような一連の活動も、同展ではダイジェストしながら楽しむことができます。

草間彌生さんご本人が登場!


昨日のプレス内覧会に、なんと草間彌生さんご本人がお越しになっています!





プレス陣から「おめでとうございます!」の声が飛び、我々に対して手を振り続ける草間さん。お元気そうで何よりです!

その後に開催された開会式でも、草間さんは元気なお姿を見せてくれました。





「私は毎日、朝から晩まで芸術の制作を命がけで闘っております。私の心の限り、命の限り、真剣に作り続けた最愛の作品を、私の命が尽きた後も、人々が永遠に私の芸術を見ていただき、その心を受け継いでいってほしい」(草間さんからのメッセージの一部)

昨年11月に文化勲章を受賞された、草間彌生さん。世界でも最も有名な日本出身の前衛芸術家による今までの歩み。彼女は、これからどこへ向かおうとしているのか?


草間彌生の全貌を紹介する展覧会だと言っても、過言ではありません。
(寺西ジャジューカ)