中華料理をメインに扱うファミレスチェーン「バーミヤン」。関東、東海、関西地方を中心に出店し、多くの人の胃袋を満たしている。筆者もその恩恵にあずかる1人なのだが、かねてから疑問に思うことが1点あった。

「バーミヤンという名前はあまり中華料理店『ぽく』ないのでは?」

そこで、運営元のすかいらーくに取材を申し込んだところ、名前に込められた深い意味が明らかになった。

洋の東西の交わるところ


日本における中華料理店の名前でオーソドックスなのは「〜飯店」系や、上海や北京、香港など、中国の地名を冠したタイプだ。それ以外も数多くあるが、基本的には漢字で構成されていて、一目見て「それっぽい」と感じるものが多い。「龍」や「華」あたりが頻出だろうか。

しかし、「バーミヤン」はどうだろう。カタカナだし、そもそも中国ではなく、アフガニスタンの地名だしと、定着した現在ならともかく、中華料理店「ぽさ」はかなり薄く感じてしまう。

疑問を解消するべく、バーミヤンを運営する株式会社すかいらーくに問い合わせたところ、

「かつて西洋と東洋の文化を結び付ける中継地点として栄えた『バーミヤン』のように、私共も、中華料理を通して人と人を結び付ける中継地点でありたいという願いを込めております」

との回答があった。

アフガニスタンのバーミヤンはかつてのシルクロードの道中に位置している。同地には、岸壁に掘られた巨大な仏像・壁画に加え、仏像とヘラクレスの像が並んで彫られているなど、古代のグローバル化の最前線とも言える街だったのだ。

残念ながら仏像の多くは2001年に破壊されてしまったが、2003年には一帯は世界遺産に登録された。

仏像の跡地(Tracy Hunterさん撮影。flickrより)

単純に中国の地名を使うのではなく、洋の東西の合流地点であった場所に由来していたのだ。変化球だ。

また、ロゴマークの桃は中華料理の思想「医食同源」と、不老長寿の象徴であることにちなんでいるという。

それに加え、「桃李不言下自成蹊」(とうりものいわざれどおのずとみちをなす)という中国の詩にも影響を受けているという。

「桃や李(すもも)は何も言わないが、その素晴らしい花や味のために多くの人が集まり、下には自然に道が出来る」

という内容で、同店の店づくりのコンセプトにもなっているという。

以上から、店名、ロゴマークともに、きちんと中華料理に関連しつつ、「こうありたい」という意気込みが込められたものであることが明らかになった。単純に分かりやすい名称をつけるよりも凝ったネーミングと言えるだろう。