江戸の粋から古き良き昭和まで、東京の過去を旅する、TOKYO FM「シンクロのシティ」のコーナー「トウキョウハナコマチ」。今回の舞台は、東京タワーから見て“12時”の方向、北区「王子」のちょっと変わった神社です。


毛髪のお願いならここ! 東京・王子「関神社」の神様とは?



空っ風が冷たい季節。
ここ数年、特に、冬の風が不毛地帯の頭皮に染みる……なんていう方、東京北区・王子神社の境内にある「関神社」に行ったことはありますか?
ここに祀られているのは「毛髪の神様」。
薄毛や抜け毛の悩みを持つ方がお参りにくる神社なんです。

突然ですが、「坊主めくり」という遊びをご存知でしょうか。
百人一首かるたの絵札だけを使って遊ぶゲームで、山札から1枚ずつめくり、お殿様やお姫様ならカードをもらい、坊主が出たら全部没収されるというルール。
坊主が出ないよう祈りながら、ドキドキしながらめくっていくというものです。

そんな坊主の中でも特に「引きたくないカード」が蝉丸(せみまる)。
蝉丸は平安時代の歌人で、かるたでは頭巾をかぶっているものの坊主扱い。
「殿様だ!」と思ったら「蝉丸だった……」というガッカリポイントに加え、1回休みになったり、全員のカードの没収だったり、はたまた蝉丸を引いただけで負け!という恐怖のルールも。
とにかく、坊主めくりでは蝉丸はキラワレモノなのです。

話は戻って、王子の関神社。
実は、毛髪の神様(髪の祖神)として祀られているのは、この蝉丸法師。
蝉丸は「日本で初めてかつらを作った人」と言われており、毛髪の神様としてかつらや理髪関係の方もお参りに来るそう。
薄毛の方へのご利益もあるということで、たくさんの方がやってくるのだそうです。

関神社のある王子神社は、都内でも歴史が古く由緒正しい場所。
関神社の境内には「毛塚」もあり、いかにも「毛髪のパワースポット」といった感じ。
美しい髪を手に入れたい女性などにもぴったりですね。

坊主めくりではキラワレモノの蝉丸ですが、実は偉大な人物。
ここはひとつ「髪頼み」、してみてはいかがでしょうか。

文/岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎週月〜木曜にお送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は、1月17日放送「毛髪のお願いならここ! 王子の関神社」よりお届けしました。

<番組概要>
番組名:「シンクロのシティ」
放送日時 :毎週月〜木曜15:00〜16:50
パーソナリティ:堀内貴之、MIO
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/city/


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