私は鍋物が大好きで、冬になるとほぼ毎日鍋だ。カレー鍋とかキムチ鍋とか、そういうのも好きなのだが、やはり一番食べ飽きないのはポン酢で食べる水炊き鍋だなと個人的には思っている。

ポン酢の種類が多すぎて普段は選びきれない


なのでポン酢を使う機会がとても多いのだが、困るのがポン酢を買う時の選択肢の多さである。近所のそれほど大きくないスーパーでさえ、王道のミツカンシリーズ以外に、九州や四国など各地で作られたポン酢を10種類ぐらい置いている。
それぞれ違いはあるんだろうけど、買って試してみないことには自分の好みかどうかわからないし、もちろん一度買ったらもったいないから使い切るまで使いたいし、と考えるとなかなか選びきれないのだ。

たまに旅行したりするとみやげ物屋に必ずと言っていいほどご当地ポン酢が売られていて、それにもいつも手が出そうになるのだが、「待てよ、口に合わなかったらどうする」、とか二の足を踏んでしまう。ポン酢が好きなのだが、このポン酢は自分に合うだろうかと思うと踏み出せない。恋したいけど勇気が出ないみたいな状態。

手に入るポン酢を全部買い集めて片っ端から食べ比べられたら……そんな思いを何年も胸に抱き続けてきた。このたび、ようやく機が熟し、“全国のポン酢食べ比べ大会”を開催することになった。これで私も運命の一本に出会うことができるはず!

47都道府県のご当地ポン酢を買い集めて食べ比べる


ざっと企画の主旨を説明させていただこう。47都道府県のご当地ポン酢を各県1本ずつ買い集め、オーソドックスな水炊き鍋を用意してそれに合わせて食べ比べる。

用意した鍋はこんな感じ。



昆布でダシを取り、白菜や豆腐、しめじ、えのき、菊菜を入れた。鶏肉と豚肉も少々。いつも私が家で食べているシンプルな水炊き鍋だ。

食べ比べは、私の飲み仲間である、大阪中津にあるミニコミショップ「シカク」の店長夫妻やその常連さんからなる固定メンバーで行う。酸味とか甘みとか、評価項目をいくつか用意して、それぞれ採点する。とはいえ、私を含めみんな味覚のプロではないので評価はあくまで独断とさせていただく。以上です。

で、47都道府県となるとなかなかのボリュームになってしまうので、大まかにエリア分けして数回に分けて開催し、最終的に一番うまいポン酢を決定したい。初回は九州・沖縄編である。

まず、最初に言っておきたいのだが、47都道府県のご当地ポン酢を各1本ずつ選んでいるのだが、この選び方はかなりアバウトで、とりあえずできるだけ安価なもの、日常使いができそうなものを選ぶようにした。
でも、これ、やってみるとすぐわかるのだが、例えば柑橘類が名産である四国だとものすごい種類のポン酢があるけど、東北となるとあまり無い、みたいに地域によって偏りがかなりある。なので、全国ランキングにするよりも、四国のありとあらゆるポン酢を網羅した方が運命のポン酢に近づけるのかもしれない……。
でもそこはまずは見てみぬふりをする。今回はまず何が獲れるか分からない海にできるだけ大きな網を投げてみる感じである。

ポン酢食べ比べ参加メンバー紹介


独断試食会のメンバーを紹介しよう。

シカク店長・巴さん


大阪中津にある、ミニコミ・自費出版本の専門書店「シカク」の店長。料理も得意で味にはうるさい。

副店長・たけしげさん


「シカク」の副店長で巴さんの妻。料理は苦手だが味にはうるさい。

ヤマコさん


「シカク」の常連客であり、私の飲み仲間。酒好きで美味い酒と美味いつまみを求めて飲み歩きの日々。

はやとさん


同じく「シカク」の常連客であり、私の飲み仲間。食には執着がなく、普段は豆腐しか食べない。

私・スズキ


食べ比べを企画しておきつつなんですが、一番好きなポン酢はミツカンの味ぽん。

九州・沖縄のポン酢8本を採点


九州・沖縄編の今回試すのはこれらのポン酢。


福岡県「博多華味鳥 博多ポン酢」、佐賀県「海人 キノス入りぽん酢」、長崎県「チョーコー ゆず醤油かけぽん」、大分県「フンドーキン醤油 カボスぽん酢」、熊本県「ヤマア ゆずぽん酢」、宮崎県「響 日向夏ぽん酢」、鹿児島県「ヤマエ 薩摩ぽん酢」、沖縄県「ざまみのシークヮーサーぽんず」の計8本。
原則、その県で作っているものを選ぶのだが、いきなり例外が一つあり、鹿児島県の「ヤマエ 薩摩ぽん酢」は宮崎県で作っている、のだが、鹿児島県産の素材を使った商品ということで今回は選出しています。

総合的に5点満点で評価し、さらに酸味・甘み・香り・後味・面白味・コスパについてもそれぞれ5点満点で採点してもらうことにした。

「うまい!」「おおこれは……」「意外な味ですね!」などとはしゃぎつつ、割とみんな真剣に採点をしてくれた。ちなみに食べ比べの会場はミニコミショップ「シカク」の店内である。



1位のポン酢は圧倒的人気


食べ比べてみると1本1本かなり味が違う。一口にポン酢といってもこんなに幅が広いものなのかと改めて驚いた。それでこそ食べ比べがいがあるというもの。みんなの採点の結果をもとに、1位から3位までを発表したい。

●第1位


福岡県「博多華味鳥 博多ポン酢」(360ml入り、420〜480円程度)


総合点4.8点
みんなのコメント:
たけしげ「黒酢っぽい独特の風味がクセになる。飽きが来ない味」
ヤマコ「初めての味わい・ほのかなカラメル感がやみつきになりそう」
巴「食材の味を高める魔法の液体!」

総合点は、全員の採点から割り出した平均点となっている。ちなみに「博多華味鳥 博多ポン酢」は酸味と香りに特に高い点がついた。橙(だいだい)の果汁を使っていて、華やかな酸味と香りが口の中に広がる。

●第2位


沖縄県「ざまみのシークヮーサーぽんず」(250ml入り、500〜520円程度)
総合点4点


みんなのコメント:
はやと「カツオだしの香りが濃い。とにかくうまい」
ヤマコ「後味が良くて、どんな具材にも合う」
たけしげ「酸味と甘みの奇跡のハイブリッド!」

商品名の通りシークヮーサー果汁を使っていて、その酸味と、醤油の甘みとダシ感が絶妙にブレンドされている印象。

●第3位


宮崎県「響 日向夏ぽん酢」(250ml入り、410〜430円程度)


総合点3.8点
みんなのコメント:
巴「爽やか!これに合わない食材はないと思う」
はやと「果肉が底に沈んでいて、それもあってかフルーティーな香りが強い」
ヤマコ「香りがすごい。酸みも甘みも立っていながら、ほのかな苦味が全体をまとめている印象」

蓋をあけた瞬間の香りの広がりがすごかった。今回食べた中では最もフルーティーな感じがした一品。ドレッシングとしても使い勝手が良さそうだった。

食べ比べてわかったポン酢の味の差


と、今回食べた中では福岡県「博多華味鳥 博多ポン酢」が圧倒的な人気を集めた。私もこれが一番美味しかったように思った。ポン酢を色々食べてみると甘みが強いもの、酸味が強いもの、香りが強いもの、の3つの要素で個性が生まれていることがわかってくるのだが、「博多華味鳥 博多ポン酢」はすべてのバランスがちょうどよく、かつ個性もあるという感じ。価格もそれほど高くなく、大阪市内のスーパーでもよく取り扱われていて、購入もしやすいので今後日常的に使っていきたいと思った。

ただ、1位以外は結構意見が分かれ、私が2番目に好きだった長崎県「チョーコー ゆず醤油かけぽん」は、他のメンバーにあまり人気がなかったりして、それぞれ好みに違いがあるんだなーというのも発見だった。

第1回の食べ比べを終えてみた感想を聞くと「一本ごとに味の差がかなりあって食べ比べてみるとすごく楽しい!」という意見がほとんど。賑やかで楽しい時間だった。また巴さんは「人それぞれの味の好みがかなり出るからこれで婚活パーティーとかやったら流行りそうですよ!」と言う。いかがでしょう、ぜひ誰かやってみませんか!?

こんな感じでこれから何回かに渡ってポン酢を食べ比べていきます! よろしくお願いいたします!
(スズキナオ)