この時代をどう楽しく生きていくのか? どうカッコ良く生きていくのか? あなたのこれからの毎日を変えてくれるかもしれないヒントを、RIP SLYMEがゲストとともに探求していくTOKYO FMの番組「RIP SLYME SHOCK THE RADIO」。そのなかで、ゲストに必ず聞く質問が「カッコイイ大人とは?」。
1月6日の放送では、さまざまな音楽シーンで多岐に渡り活動中のDJ YANATAKEさんが登場。「カッコイイ大人」について答えてくれました。


DJ YANATAKEさん(右)と、番組パーソナリティのRIP SLYMEのRYO-Z



RYO-Z 今日はヒップホップ新春放談ということで……。

DJ YANATAKE うん。

RYO-Z これ、YANATAKEさんを呼んだのは理由がありまして、昨年の12月にリアルサウンド編集部から『私たちが熱狂した90年代ジャパニーズヒップホップ』という超ヤバいブツがリリースされていると……!!!

DJ YANATAKE (笑)!! ねぇ! 熱狂してましたね〜。

RYO-Z 熱狂ですよね! これがなかったら僕らもなかったわけで……僕らも今、全国ツアーを回っているんですが、「DANCE FLOOR MASSIVE V」というツアーの裏テーマが“90年代”なんですよ。

DJ YANATAKE おお〜いいですね!

RYO-Z 音とかもけっこうクイックで繋いでプレイしたりとか……。

DJ YANATAKE へぇ……!

RYO-Z ……あっ! (ブースの中に)届きました! 『私たちが熱狂した90年代ジャパニーズヒップホップ』!!

DJ YANATAKE なんか……バカ売れみたいなんで……!

RYO-Z そうなんすか! それはいいですね〜! これは知っといてもらったほうがいいなってことがたくさん書いてあって。当時のシーンを知る重要人物のインタビューがまとめられた1冊なんですが……。その中で、YANATAKEさんは当時、勤められていた渋谷のレコード店「CISCO」のバイヤー時代のお話をされているということで、今日は90年代をメインにお話をお伺いしたいと思うのですが……!

DJ YANATAKE はい。

RYO-Z まぁ……現場中の現場である、レコード屋さんに身を置いていたYANATAKEさんで、「当時は店員としてMUROくんに認められる事が超重要だった」と。

DJ YANATAKE (笑)。そう、重要だったというか自分の中で……まぁそういうふうに言う人は僕以外にもいっぱいいると思うんですけど。最初、僕は「CISCO」上野店で働いていたんですね。

RYO-Z はい。

DJ YANATAKE 渋谷店に転勤になったときに、ハッと気付いたら渋谷店ってやっぱりスタッフのレベルがすごく高くて。

RYO-Z あ〜。

DJ YANATAKE 当時はサンプリング・ヒップホップなわけじゃないですか。

RYO-Z はい。

DJ YANATAKE だから新譜が入って来ても、「あっ! これ○○ネタだよね」ってみんな一瞬でわかるんですよ。

RYO-Z (笑)!!

DJ YANATAKE でも僕、そういうの全然詳しくなくて、知ったかぶりをしてなきゃいけなかったというか……「ああ! それね〜!」みたいな。でも「限界があるな」って思って。今から元ネタをいっぱい勉強してもMUROくんとか、当時一緒に働いてたForce of NatureのKZAさんはすごく詳しかったし。僕の前任がキミドリのクボタタケシさんで。

RYO-Z メチャクチャですね……!

DJ YANATAKE それには絶対に追いつけないし。

RYO-Z ディガーたちが集まっているわけですからね。

DJ YANATAKE でも、彼らに何かしら勝ってないと渋谷で生き残れないんじゃないかって思って、“新譜をメチャクチャ詳しくなろう”と。当時はインターネットがないから、FAXで届くアメリカの問屋さんからの情報が速いから、それを誰よりも先にチェックできるのは俺だし、レコードが入って来て一番最初に聴けるのも俺だし。

RYO-Z ええ。

DJ YANATAKE 当たり前のことなんだけど、そういうのをちゃんとやってMUROくんとかにも新譜の情報を教えてたら、“認めてもらえる”というかそういうふうになったのかな。

RYO-Z いやぁ〜!

DJ YANATAKE 宇田川町っていう場所が渋谷にあって、東急ハンズの奥、NHKのほうに行ったところが“レコ村”、「レコード村」と呼ばれてて。当時のギネスブックに載ったぐらい1ヵ所に200近くのレコード屋さんがあったらしいんですよ。

RYO-Z 軒がひしめいていた……。

DJ YANATAKE 人がいっぱいいたんですよね。

RYO-Z そうですね。しかも本当にヘッズばっかり。とにかくヘッズしかいないってくらい。

DJ YANATAKE そのど真ん中で90年代、7年半くらい働いてました。

RYO-Z そうなんですか……! 相当……!で、帰りにゴールドラッシュを食って……っていう空気!

DJ YANATAKE (笑)! ありますね!

RYO-Z みんなであのへんの店を回ってましたね。

DJ YANATAKE 僕らもほかのレコード屋さん回ってましたね。

RYO-Z あらためて振り返ってみて、あの感じってどういうことだったんですかね……?

DJ YANATAKE なんだろうね? インターネットがないから、みんながとにかく情報に飢えている……。情報をゲットしたり新譜を聴きたくて、レコード屋さんに行くのが一番早かったってことですかね。当時の面白い話だと……。NITRO MICROPHONE UNDERGROUND、SHAKKAZOMBIEのメンバーとか、みんなお金ないけど新譜が聴きたいから毎日いるの。Osumi(Osumi Tsuyoshi SHAKKAZOMBIE)とかはもう休憩室にロッカーがありましね!(笑)。

RYO-Z それは完全に店の人間ですね(笑)。

RYO-Z 本の中にも90年代のヒップホップを象徴する曲はコレだろ!っていう曲がありますんで、そのへんの1曲をぜひ……!

DJ YANATAKE これね〜始まる前に「どれにしようか?」って考えるくらい、いっぱいあるんですが……!

RYO-Z ですが……!

DJ YANATAKE 本でも語ってる部分でもあるんですが、僕はやっぱりレコード屋さんで働いてたときの象徴的なエピソードが“証言”。LAMP EYEの「証言」というレコードが出たときというのはやっぱりすごくて。

RYO-Z ええ。

DJ YANATAKE 何回も細かく入荷はあったんですけど、入るたびに争奪戦みたいな。

RYO-Z (笑)。

DJ YANATAKE その最後のプレス分をバンっと貰いまして、まわりのレコード屋さんだと○万円ってくらいプレミアが付いちゃうものを「定価で出しますよ!」って言ったら、前日の夜10時で300人くらい並んじゃって。

RYO-Z もうレコード屋級を超えてますよね!(笑)。

DJ YANATAKE もうみんな取り合いのように……奪い合いみたいな(笑)。

RYO-Z レコ屋の袋に、アルバムのジャケットをプリントするっていうのが今では当たり前ですが、それがYANATAKEさんのアイデアだったと。

DJ YANATAKE そうっすね。僕と「証言」のチームでいろいろ話して。タワーさん(タワーレコード)、HMVさんでもやってたかもしれないでけど、あのへんの盛り上がっているところでやるのは「証言」の袋が最初でしたね。

(中略)

RYO-Z まだまだお聞きしたいことは山ほどあるんですが……今後の予定のほうをお聞きしたいなと。

DJ YANATAKE 僕もいろいろな仕事をやらせてもらっているんですが、ひとつ、SKY-HIというラッパーの制作ディレクターというのをやらせてもらっていまして。

RYO-Z はいはい……!

DJ YANATAKE 昨年の終わりくらいに頑張りましたね〜。

RYO-Z うんうん。

DJ YANATAKE すごいアルバムができちゃって……! 1月18日に『OLIVE』というアルバムが出ます!

RYO-Z 素晴らしい!!

DJ YANATAKE プロデューサーが……MUROくん、DJ WATARAI、grooveman Spotとかもやりつつ、mabanuaさんとかTINYVOICE PRODUCTIONの面々とかでやっていたりするんですが。

RYO-Z ええ〜!!

DJ YANATAKE ビッケブランカさんとか注目のところでやっていたりして、そのアルバムが出るので、せっかくだからRYO-Zくんにも1曲聴いていただきたいなと思いまして。

RYO-Z ぜひ!

DJ YANATAKEが考える、カッコイイ大人とは、ズバリ!


RYO-Z それでは最後に、この番組ではすべての方に「カッコイイ大人とはどんな人か?」を聞いてるんですが、YANATAKEにとってカッコイイ大人とはどんな人か? お伺いさせていただきたいんですが……!

DJ YANATAKE 真面目!!

RYO-Z 真面目な人か〜! そうなんすよね! ヒップホップですごく悪ぶっていても、根が真面目な人たちだけなんですよね、生き残るのは。

DJ YANATAKE そうなの。ダラダラしたイメージがいまだにあるのかな? でも今残っている人たちはみんなちゃんとしているから! 本当にわかってほしい!

RYO-Z (笑)!!

DJ YANATAKE ポーズとして、そういう見せ方をしている人もいるけど、スッゲーちゃんと頑張って音楽をみんなやってるので、それをわかってほしくて「真面目」というワードにしました。

RYO-Z 僕の中の真面目なラッパーとしてSKY-HIの名はありますよ。

DJ YANATAKE もう真面目を通り越して、スーパーストイックですよ。僕も彼から勉強させてもらうことがいっぱいあるし。あんなに真剣に音楽に取り組んでいる人がまわりにいなかったのでビックリします。

<番組概要>
番組名:「RIP SLYME SHOCK THE RADIO」
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国9局ネット
放送日時:TOKYO FMは毎週金曜18:00〜18:25(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:RIP SLYME
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/shock/