自分のルーツとともに気になるのが「名字」。同じ名字の方とは“どこかで繋がりがあったりして”と、親近感を覚えたりしますよね。特に日本語は複雑で、同じ漢字でも読み方が違ったり、はたまた読みは同じでも漢字は違ったりとさまざまです。今回はそんな「名字」の謎に迫ります。


斉藤、斎藤、齊藤…… あなたは、どのサイトウさん?



手紙やハガキが届いたとき、漢字が間違って届いてしまったという経験、みなさんはありませんか?
たとえば名字では、旧字体と新字体の間違いなどはよくある話。
サワダさんという名字の「さわ」には簡単な「沢」と難しい「澤」がありますし、トミタさんも、点がつく「うかんむり」と、点のない「わかんむり」の「とみ」があります。
日本人の名前は、ほんとうにややこしいのです。

中でも迷ってしまうのが「サイトウさん」の漢字ではないでしょうか。
書き方が最も簡単な斉藤さん、2番目に難しい斎藤さん、さらに複雑な齊藤さん、もはや見本を見ても書けないほど難しい齋藤さん……。
はたしてどれなのか? 思い切って一番簡単なものにして書くと、「そのサイトウじゃありません!」なんて言われたり。
一体なぜ、こんなに種類があるのでしょうか。

この理由は、明治8年に発令された平民苗字必称義務令にあります。それまで名字が存在しなかった庶民たちが、名字を決めて届け出を出さなくてはならなくなったのです。
先祖が名乗っていた名字をそのまま使う人もいましたし、初めて付ける人もいました。

届け出を出すのは一般庶民。
そして当時はパソコンもなく、データ管理もできません。
さらに字が書けない人もまだまだいました。
すべて手書きの申告は、たとえ誤字があってもそのまま受理されたのです。

実はサイトウさんは、「文」の下に「示す」と書く「斎藤」さんが由来だと言われています。
最もメジャーと思われている一番簡単な斉藤さんは、本来「さい」とは読まず「せい」と読み、その漢字と混同したことによる間違い。
一番複雑な齋藤さんは、単純に旧字体。もうひとつは、その旧字体の書き間違いだそうです。

サイトウさんだけでなく、ほかの名字でも「点がない」「ある」は、ほとんど明治8年のときの書き間違いが原因だとか。
なにか深いわけがあると思っていたのに、意外とゆるい理由だったんですね!

文/岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「あなたは、どのサイトウさん?」として、11月17日に放送しました。

<番組概要>
番組名:「シンクロのシティ」
放送日時 :毎週月〜木曜15:00〜16:50
パーソナリティ:堀内貴之、MIO
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/city/