永山たかし×鯨井康介「路線を見るたび、みんなの顔が浮かぶんです」――ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』2、本格発車!
撮影/アライテツヤ ヘアメイク/福島加奈子 取材・文/野口理香子
ふたたび、東海道新幹線と東海道本線に。
――ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』の第2弾が決まりました。現在の心境からお聞かせください。
永山 楽しみです! 前回を超えるものを絶対に作ろう!という気持ちです。
鯨井 僕も同じ気持ちです。こうやって同じ作品を、シリーズでやらせていただけるのは本当にありがたいことなので、初演に出ていた者として、しっかりとつなげられるように、精一杯頑張ります。
――初演から引き続き、永山さんは東海道新幹線役、鯨井さんは東海道本線役を演じられます。それぞれどういうキャラクターか、ご紹介いただけますか?
永山 では僕から…「年間一兆を稼ぐ男、東海道新幹線」です。「お金にうるさい」とか、「打たれ弱い」とか、キャラクターとしてわかりやすい部分があるんですけど(笑)、だからこそ見た方に嫌悪感を与えないとか、嫌われないってことを意識して演じました。
――というと…?
永山 原作を見ると、僕は怒鳴っていたり、ギャンギャンわめいていたりするシーンが多いんですが、それを舞台上で同じようにやろうとすると、お客さんを戸惑わせてしまうのかなと。同じようにやっても、お客さんに愛してもらえるキャラにしたいなと思いながら演じました。

――そんな東海道新幹線を兄に持つ弟・東海道本線はどういうキャラクターでしょうか?
鯨井 日本でも一番古く、長い距離を走っている歴史ある本線です。この作品では、東海道新幹線の弟というキャラクターで、兄への愛と尊敬を忘れないThe弟キャラですね。
――演じる際にとくに大切にされたことはありますか?
鯨井 兄へのリスペクトをどう表現するか、ですね。思いだけじゃなく、動きをシンクロさせることで一体感を出したりとか。あとは尊敬の念を込めて、兄をよく見るっていうのは意識していました。
――それは舞台上だけでなく?
鯨井 舞台上はもちろん、稽古場からですね。兄を常に見ていました。

信頼関係があるから、本音でぶつかることができる。
――初演を振り返っていただいて、あのシーンは楽しかった、苦戦した、など印象的だったエピソードがあれば教えてください。
永山 僕は、個人的には全部苦戦しながらやってましたけど…、ふたり一緒のシーンは楽しかったよね。楽しかったし、やりやすかったです。
鯨井 楽しかったですね。
永山 彼は、絶妙な立ち位置に入るんですよ。視界には入るんだけど、大きく出てこないっていう絶妙なところにいるから、リアクションの返しもすごく心地よくて。
鯨井 (恐縮した様子で)いやいやいや…。
――永山さんが苦戦していたというのは?
永山 言い慣れない言葉が多いっていうのが、ひとつあるんですけど。あとは掛け合いですね。山陽新幹線さんとうまくいかなかったり(笑)。
鯨井 あははは。
永山 原作的には、僕がギャーギャー騒いで、山陽さんが「まぁまぁまぁ」ってなだめながらまわしていくっていう感じじゃないですか? だけど、山陽さんの中の人はそういう役回りを望んでいない人だから。
――中の人=滝川英治さん、ですね。
永山 はい(笑)。そこは彼と話し合いながらやったんですが、なかなか難しくて。次こそは、彼の暴走がいい方向に運ぶようにできればいいなと思っています。
――鯨井さんは、そんなおふたりを見ていてどう思いました?
鯨井 「苦戦していた」とおっしゃっていますけど、その中でも、お互いの信頼関係というか、過ごされてきた時間というのを垣間見ることができたんですよね。「こうしてよ」「ああしてよ」「違うじゃん」なんて言い合いながら、口元が微笑んでる、みたいな。

――永山さんと滝川さんは、初めての共演から10年以上の付き合いですもんね。
鯨井 いいなぁ、そういう関係性って…と、素直に憧れの気持ちを抱きました。自由な滝川さんと、座長として真ん中にバーンと立っているたかしくんがいたので、僕はその横でふざけているだけでよかった(笑)。楽しく、かつ弟らしく自由にやらせてもらえたので、そのスタンスは今回も変えないつもりです!
永山 まぁでも前回、彼はそうとう我慢していたらしいから。
鯨井 となると今回は、もっと前に出てきちゃうかもしれないですよね…。
永山 オレ、フォローしきれないわ…(笑)。
――いまのお話から現場の雰囲気も想像できますが……(笑)。誰が盛り上げ役でしょう?
永山 誰だろう……Kimeruかなぁ?
鯨井 いつもはそうですけど、今回は違ったような。先輩たちみんな、座長のたかしくんを盛り上げているなぁと思いました。そういう関係性っていいなぁ、先輩たちカッコいいなって思いましたもん。
――稽古中や本番中に、キャスト同士でごはんを食べに行ったりは?
鯨井 そんなになかったですよね?
永山 うん。前作の現場は、一個のものに向かっていくっていうスタンスじゃなかったんです。みんなでコミュニケーションとって、ごはんを食べたりお酒を呑んだりして、じゃあここに向かって行こうぜ!っていうのが通常の舞台なんですけど、顔見知りが多いので、そういうスタンスじゃなかったなって。
――なるほど。
永山 それぞれがどこに向かうかわからないまま走り出してて、そのうちにだんだんひとつの方向にまとまっていくって感じ…? だから今回は2回目だけど、ある意味、道筋ができた上での新しいスタートになるのかなと思います。

「可愛い子には旅をさせよ」…鉄道にまつわる思い出。
――この作品に出演するとなって、鉄道についていろいろ調べたりすることもあったと思うのですが、それ以前は、鉄道に対する興味ってありましたか?
永山 移動手段としての認識しかなかったですね。
鯨井 僕もそう、移動手段って感じで。というのも、どんなに疲れていても電車では寝られないんですよ。子どもの頃から、鉄道に限らず乗り物に夢中になるキッカケがなくて。
――それが、舞台への出演をキッカケに変わった?
永山 自分にとってホントに身近なものになりましたね。新幹線が遅れたとか、何かトラブルが起きたとか、そういうニュースを見るたびに落ち着かなくなります。
鯨井 わかります!! 僕も路線を見るたびみんなの顔が思い浮かぶ。秩父鉄道は個人的に思い入れのある路線なんですけど、今や、森山栄治のイメージになってしまった…。
永山 あははは。
鯨井 大好きな先輩なので、うれしいんですよ! うれしいことではあるんですけど……このニュアンスは出しておいてください(笑)。
――永山さんが思い入れのある路線というと?
永山 やっぱり山手線かな。よく使うので。僕は神奈川県の相模原ってところに住んでたんですけど、電車に乗るとなると、10分に1本の世界なんですよ。それが東京に出てきて驚きました。次から次へと来る山手線の早さ!!

――では、鉄道の旅の思い出ってありますか?
鯨井 僕がとても小さいときに、両親が「おばあちゃんちへ行っておいで」って兄弟を送り出して。それこそ兄貴は小学生、僕が幼稚園生くらいの頃かな? 今だったらちょっと心配になっちゃいますけどね。うちの両親は本当に無謀だったなぁと…。
――「可愛い子には旅をさせよ」ってヤツですね。
鯨井 そうなんですかねぇ…。ふたりで初めて乗った電車が秩父鉄道でした。兄貴が一生懸命僕の手を引いて、おばあちゃんちまで連れていってくれた記憶がありますね。だからすごく思い出深いんです。
――永山さんはどうですか?
永山 僕は…謝りたいことがあります。学生時代、野球部の仲間と遠征試合のときに電車を使っていたんですけど…。大声でしゃべったりとか、たまにマナーの悪い学生さんっていますよね? そういう人を見かけると、「オレもあんなふうに態度悪かったんだろうな…」って反省します。
――高校生くらいの男の子がたくさん集まると、ワイワイガヤガヤしちゃいますよね…。
鯨井 僕もあります。高校生のときに、友だちと普通にしゃべっていただけだったのに、「公共の場だよ」って注意されたことがあって。まぁそれは、僕がしゃべりながら顔面を動かすクセがあるからなんですけど…(と、顔面を動かしてみせる)。
永山 あははは。
鯨井 声のトーンはそうでもなかったのに、顔がうるさかったらしいです。
永山 確かにうるさいけど、電車の話と関係ないよね(笑)。