岡山、広島、博多…次々現れる駅名 幕の行先表示、新幹線から消滅か
列車で、車両の横に掲示される行先の表示。近年はLED式が主流で、行先変更時にさまざまな駅名が現れる「方向幕」は減少の傾向です。特に新幹線では残り少なくなっており、近い将来、消えてしまう可能性が高まっています。
ホームでつい見入ってしまうことも?
列車の車体側面に設けられている、行先などを表示する幕。終点へ到着した列車が、幕の表示を折り返しの行先へ合わせる作業中、さまざまな駅名がそこに現れます。

東海道・山陽新幹線を走るJR東海700系の方向幕。シートが上下方向へ巻き取られることで、表示が変わる(写真出典:JR東海)。
「方向幕」と呼ばれるこの行先表示は、長いシートにいくつもの駅名や列車名が印刷されており、それを上や下に巻き取ることで内容を変えています。そのため、表示の変更中に各地の駅名やさまざまな列車名が登場。旅情をそこに感じたり、つい見入ってしまった人、少なくないかもしれません。
しかしこの方向幕、近い将来に新幹線から消えてしまう可能性が高まっています。
もう一部にしかない新幹線の方向幕 近い将来…
かつては、東海道・山陽用の“初代”である0系や(1964年の営業運転開始時は板を差し込む方式)、東北・上越用の“初代”である200系など、多くの新幹線車両がこの方向幕を使っていましたが、現在は1999(平成11)年にデビューした、JR東海に所属する700系電車だけです。

新幹線で「唯一」になり、「最後」になる可能性が高まっているJR東海700系の方向幕(2016年7月、恵 知仁撮影)。
そしてJR東海は2019年度末までに、東海道新幹線からこの700系を引退させる予定。つまりそれと同時に、新幹線から方向幕が消えてしまう可能性があるのです。変わっていくその表示に対し、「『のぞみ 岡山』(モモ……)『のぞみ 広島』(お好み焼き……)『のぞみ 博多』(もつ鍋……)『のぞみ 品川』(……品川行きの『のぞみ』なんてあったっけ?)」とホームで楽しめるのも、近い将来、過去の話になるかもしれません。
なお、700系にはJR西日本に所属する編成もありますが、こちらは方向幕ではなく、LED式の行先表示を採用しています。品川行き「のぞみ」は走っていません。
「新幹線最後」かもしれない700系の方向幕、その価格は
近年、鉄道車両の行先表示器は、方向幕ではなくLEDなどデジタルのものが主流です。たとえば、新しい列車や行先を追加したい場合、方向幕の方式ではそのロールシートごと交換するなどせねばなりませんが、デジタルならデータの書き換えといった小規模の作業ですむ、という利点があります。

JR東海・浜松工場の一般公開イベントで展示された700系の行先表示器。方向幕をさまざまな表示に変えてくれる(2016年7月、恵 知仁撮影)。
さてこの方向幕、鉄道ファンから注目度の高い「グッズ」でもあり、その廃品を取り扱う店舗やオークションでは、10万円以上の高値になることもしばしば。方向幕をモチーフにした玩具も発売されているほどです。
鉄道会社がその廃品を販売することもあります。先述した“新幹線で最後の方向幕”になる可能性が高い700系の方向幕も2016年9月18日(日)と19日(月・祝)、JR東海がその浜松工場(静岡県浜松市)で開催する「さよなら 車体上げ・載せ作業実演」イベントで販売する予定で、JR東海によるとおよそ30種類の表示があり、「臨時」や「試運転」といった普段はなかなか見られない表示も入っているといいます。
ちなみに、この700系の方向幕は1日あたり20ロール程度が用意され、1本4万円。販売は抽選です。

LED式の行先表示器。方向幕式に比べ、構造がコンパクトでもある(2016年7月、恵 知仁撮影)。
なお、JR東海が浜松工場で実施する「さよなら 車体上げ・載せ作業実演」は、ここでしか見られない、「整備のためクレーンで空を飛ぶ新幹線」がまもなく見納めになることから実施されるもので、入場は無料。車両部品の販売も方向幕以外に、700系普通車の座席(4万円)や「新幹線乗務員時計」(8000円)などが用意されます。
・「さよなら 車体上げ・載せ作業実演」
http://recommend.jr-central.co.jp/syatai_agenose/
【写真】珍しい「修学旅行」表示の新幹線

車内に大勢の生徒を乗せ、「修学旅行」と表示する300系新幹線(2011年5月、恵 知仁撮影)。
