クラウドファンディング1000万円集めた京都のアニメ、二次創作イベント開催

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京都市営地下鉄の広告アニメ「地下鉄に乗るっ」の続編作成に1000万円を超える支援
が寄せられ
、5月29日に続編制作本格的開始の報告会が開催されてから2ヶ月。9月17、18日に開催される関西最大級のマンガ、アニメを中心としたコンテンツの総合見本市「京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)」でのお披露目が予定されているが、いま、制作状況はどうなっているだろうか。
直近では、7月30日(土)開催の「〜地下鉄開業35周年・国立京都国際会館50周年記念祭〜地下鉄に乗って国際会館に行くっ!」lにて太秦萌のお姉さん・太秦麗の声優オーディションの経過報告が行われるっ。


7月30日(土)は「地下鉄に乗るっ」二次創作イベント「ちかつくっ」の日でもある。公式のみならず、すでに二次創作も盛り上がりを見せているというのだから「地下鉄に乗るっ」人気、おそるべし。
このイベント以前に、京都市営地下鉄では、キャラクターを使ったユーザーによる4コマ漫画を募集し優秀作を駅構内で発表しているノリの良さ。


二次創作イベントの主催者にして、アニメの仕掛人であるGK京都の名倉剛志さんと魚雷映蔵の佐野リヨウタさんは「いわゆるアニメや漫画ファン世代による同人誌やフィギュアだけでなく、例えばお婆ちゃんが太秦萌たちをイメージしてつくった雑貨なども大歓迎。京都の地下鉄のイメージキャラだからそういう世代を超えて愛されるものを目指している」と言う。
このたび声優募集した太秦麗も、幅広い年齢層に対応するためのキャラクター。
「女子校生3人組ではじめた企画ですが、未成年という設定では対応できない案件も地下鉄にはあります。例えば、終電の時間が延びたという夜の遅い時間帯のPRに合わせて、成人キャラの麗がリファインしました」と名倉さん。「次は、地下鉄の防犯、例えば痴漢防止キャンペーンなどのPRなどに対応できる男子キャラクターも考えています」と5月29日のイベントで3タイプの男子キャラのラフを発表、観客に投票を求めていた。




こんなふうに徐々に世界観が拡大していきつつある「地下鉄に乗るっ」。10,422,000円もの予算獲得により企画がグレードアップしたアニメができるまでエキレビ!は追っていく予定だ。その前に、今回は「地下鉄に乗るっ」企画の発端をつくったGK京都の名倉さんに話を聞いた。29日のイベントでも、佐野さん共々ファンからすっかり愛されているのが見てとれた眼鏡キャラ・名倉さん。

地下鉄に乗るっ」はどうやって生まれたのか




被災地への支援活動がきっかけだった「地下鉄に乗るっ」プロジェクト


──京都さんのサイトを見ると、手がけている広告が固めのものが多く、「地下鉄に乗るっ」は異色に見えます。なぜ、アニメの企画をはじめたのですか。
名倉 その前から「おいしい地下鉄」など、京都市営地下鉄の広報の仕事をさせていただいていた頃に、京都市の若手職員のチームの方が「燃え燃えプロジェクト」という階段をのぼって脂肪を燃やそうという企画をやっていて、そのイメージキャラに太秦萌といういわゆる萌えキャラを考えていたことに興味をもちました。市営地下鉄までが「萌え起こし」ムーブメントに乗っていることが興味深かったものの、もう少しキャラクターを作りこんだり、ポスターのデザインクオリティをアップしたら価値が出るのになと惜しく思っていたところ、ちょうど新しい広報のアイデアないですか? と聞かれ、だったらこれを本気出してつくったらどうでしょうかと提案しました。まず、会社に来ていたインターンの子に、原型のキャラをブラッシュアップしてもらい、それを当時の担当者の方に紹介しました。しばらくしたら太秦萌たち、キャラクターを使った広報のコンペを開きたいということになりまして、種まきしたからには自分たちで刈り取るしかない!と、当時のメンバーで本気出してコンペに臨み、無事採用していただいたというわけです」


──名倉さんはアニメや漫画が好きなんですか?
名倉 「アニメ、ゲーム、漫画、音楽などサブカル寄りのものが好きで、当時もうひとりいたスタッフはゲーマーでした。ただ、仕事の面ではそういう部分を生かす機会はなかなかなく、「地下鉄に乗るっ」をやっている時は社内で“GK京都のアナーキーなふたり”と言われていました(笑)。社内でもこういうキャラものはちょっと・・・という声もありましたから。一方で、面白いといってくれる人もいて、賛否両論の中ではじめて4年めの今、なんとか社会に認知されたことを嬉しく思っています」
──好きなアニメや漫画を教えてください。
名倉「このプロジェクトのイメージとから離れますが『天元突破グレンラガン』が好きです。あと島本和彦さんの漫画も」
──キャラクターデザインの賀茂川さん、アニメ制作を仕切っている佐野さんというスタッフはどうやって決めたのでしょうか。
名倉 「京都の仕事なので、京都に関係している人がいいなと思って探していました。メイドイン京都にこだわりたかったんですよね。賀茂川さんは、pixivなどで絵を発表されているのを見て、お名前から京都の方なのかなと思って連絡したら、いまは東京だけれど京都出身だとわかりました。佐野さんはTwitterで知り合いました。アニメCMの制作スタジオを京都で探していまして、たまたまTwitterで佐野さんのプロフィールを見たら11年の震災で被災された土地で支援活動をしているというのを読んで、けっこうええやつやな(笑)と、今後、防災関係の企画などでも関われたらいいなと思って声をかけました」
──名倉さんは京都の方ですか。
名倉 「元々は愛知です。地元ではフリーでやっていましたが、ひとりでやれることに限界を感じて、会社に入ったんです。ひとりで考えているよりもメンバーに囲まれていたほうが、自分のアウトプットを極限に触り切れるもので。その延長線上に『地下鉄に乗るっ』があったというわけです」

チーム結成のきっかけが京都から遠い被災地支援活動だったというのがなんだかいい話。エッヂの効いた企画を考案し続けるGK京都の名倉さんと魚雷映蔵の佐野リヨウタさん。彼らのつくった太秦萌たちは、LINEスタンプが生まれたり、京都伊勢丹でキャラクターをイメージしたファッション雑貨の展示企画が行われたりして盛りあがっている。最近は、地元京都のみならず東京のニュース番組に取り上げられるようにもなってきた「地下鉄に乗るっ」ワールド。今後の展開も期待できそう。
まずは、太秦麗の声は誰が射止めるのか。


(木俣冬)