マレーシアとシンガポールの両政府は19日、マレーシアのクアラルンプールとシンガポール間を結ぶ全長350キロメートルの高速鉄道について、2026年に開業することで覚書を交わした。(イメージ写真提供:123RF)

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 マレーシアとシンガポールの両政府は19日、マレーシアのクアラルンプールとシンガポール間を結ぶ全長350キロメートルの高速鉄道について、2026年に開業することで覚書を交わした。

 中国メディアの国際金融報は20日、同高速鉄道計画がいよいよ始動することについて日本と中国の受注に向けたそれぞれの強みを比較する記事を掲載した。

 記事はまず、クアラルンプールとシンガポール間を結ぶ高速鉄道計画は「日本と中国のみならず、韓国なども入札に関心を示している」と伝える一方、もっとも競争力を持つには日中であると指摘。さらに、同高速鉄道の大半はマレーシア国内に建設されることから、マレーシアの意向が大きな鍵を握ることになると指摘したうえで、「マレーシアは中国企業の参画を望んでいる」と主張した。

 続けて、新幹線については「開業からこれまで乗客の死亡事故が一度も起きていないこと」、「時間に正確な運行が可能であること」といった強みがあるとしながらも、建設コストの高さがネックであると指摘。資金的なサポートがなければ、新幹線を導入しても黒字化は非常に難しいと主張した。

 また記事は、インドネシア・ジャワ島の高速鉄道計画は中国が受注し、インドおよびタイの計画は日本が受注したことを指摘し、中国側は今回の高速鉄道計画の受注に向けてマレーシアへの投資を積極化していると指摘。特にマレーシア国内に建設される路線最終駅周辺の再開発プロジェクトにも投資を行う方針だと紹介した。

 アジアの高速鉄道市場の規模は500億ドル(5兆3072億円)を超えるとの試算もあるなか、日本と中国の市場争いはまだ始まったばかりだ。ジャワ島の高速鉄道計画を中国に奪われた日本は雪辱を果たすことができるのか、今後の動きに注目したい。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)