書法には「一波三折(いっぱさんせつ)」という筆鋒があり、これは一画を書くのに筆の方向を3度変化させることを意味する。中国メディアの高鉄網はこのほど、シンガポールメディアの報道を引用し、中国高速鉄道の輸出事業が順風満帆とはいかず、紆余曲折に直面している状態を「一波三折」という言葉を用いて表現している。(イメージ写真提供:(C)hulv850627/123RF.COM)

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 書法には「一波三折(いっぱさんせつ)」という筆鋒があり、これは一画を書くのに筆の方向を3度変化させることを意味する。中国メディアの高鉄網はこのほど、シンガポールメディアの報道を引用し、中国高速鉄道の輸出事業が順風満帆とはいかず、紆余曲折に直面している状態を「一波三折」という言葉を用いて表現している。

 中国高速鉄道が受注に成功した事例にはインドネシア、タイ、メキシコ、ミャンマーにおける国際プロジェクトなどが含まれる。しかし記事は、インドネシアとタイのプロジェクトには問題が相継いで発生したと指摘、またメキシコ、ミャンマーのプロジェクトはどちらも頓挫したと説明。記事はこうした事態が中国高速鉄道の輸出事業の速度に悪影響を与えており、非常に憂慮すべき問題であるという見方を示した。

 続けて、中国高速鉄道の輸出計画が一波三折の憂き目にあっている状況を認めつつ、投資先で様々な問題に直面するのは「なぜなのか」と問題を提起した。一方、まず否定したのは、中国高速鉄道の技術、コスト、経験に問題があるのではないかという疑問だ。記事はこの3つについて「まったく問題はない」という見方を示しており、むしろ十分な国際競争力があると主張した。

 中国のような大国が国際投資を通してインフラ整備を援助することは歓迎するが、その一方で大国に依頼し過ぎることに対しては非常に慎重な態度を示しているようだ。

 一部報道によれば、インドネシア高速鉄道では住民の立ち退きの点で問題が発生しており、土地の取得がスムーズに運んでいない。また、タイの場合は金利における両国の不一致が建設計画の変更を招いた。メキシコの場合は入札過程に問題があり、ミャンマーの場合は住民や政府内部の反対が頓挫の原因となった。

 これらの事例から理解できることだが、中国高速鉄道の輸出計画が一波三折の憂き目にあっているというよりも、国際プロジェクトに一波三折はつきものであり、その一波三折が生じる確率を低下させ、一波三折を乗り越える力が必要不可欠だ。製品の価格や品質、また施工経験などは成功条件の一部分に過ぎず、中国に必要なのは周到さや計画の緻密さ、さらには現地の人びとに対する配慮だ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)hulv850627/123RF.COM)