これからの時期、卒業旅行などでタイを訪れる人も多いかもしれない。2月、3月のタイは1年のうちでもっとも過ごしやすいシーズンだ。暑さも激しくなく、街歩きもしやすい。そんなタイ旅行でとまどうのが、飲み物のチョイス。コーラやファンタなどの炭酸飲料は充実しているものの、日本で口にするタイプより甘味がきつい。

驚愕するタイ飲料の甘さ




タイでは飲み物に氷を入れて飲む習慣があるため(なんとビールにも入れる)、氷と溶け合ってちょうど良くなるように甘味が調整されているのだろうか。炭酸飲料はどぎつい色をしたものも多く、さながら小学校の理科の水溶液実験を彷彿とさせる。明らかに添加物満載といった感じだ。

炭酸でもなく、ミネラルウォーターでもなくという時はお茶飲料を飲みたくなるが、タイではお茶もむちゃくちゃ甘い。ファミレスのドリンクバーにある紅茶にガムシロップを5個くらい投入したような味を想像して欲しい。カフェなどでタイ紅茶を頼むと、そこにコンデンスミルクが投入されたものが出てくる。タイというと辛い料理のイメージばかりが先行するけれど、タイ人は辛党かつ甘党なのだ。



「激甘の紅茶を飲むのはちょっときつい。すっきりしたお茶が飲みたい」という時におすすめなのが「OISHI」シリーズだ。2004年からタイで初めての緑茶飲料として販売されている。緑茶タイプのほか、玄米風、レモン風の3種類が主力商品だ。中でもレモン風は、かつて日本で流行った「はちみつレモン」に近い。甘味はあるものの、すっきりとして飲みやすい。「OISHI」の製造元は、飲料品のほか、焼肉、寿司、ラーメンなど日本食チェーンも展開しており、タイではかなりイケイケの企業となっている。ちなみにタイ語で「おいしい」は「アロイ」である。

不思議な名前のパクり商品も


この緑茶飲料、タイのお隣の国、カンボジアにも存在する。味は「OISHI」にそっくりなのでパクリ商品といっていいだろう。商品名は「てんさい」である。天才、転載、甜菜(砂糖大根)と、同じ響きを持つ日本語は多いが、おそらく「天才」の意味だろう。ずいぶんと大仰なネーミングだ。



側面には成分表示(composition)がある。緑茶(gereen tea)成分は25%、砂糖の主成分であるスクロース(sucrose)が10.89%、クエン酸(citic acid)0.1%である。容量は380ミリリットルであるから、40グラム近く砂糖が入っていることになる。残る65%はただの水ということだろう。事実はといえ堂々と公開していいのかとまどってしまう情報だ。ジュースひとつとっても“異文化”が感じられる。
(下地直輝)