松阪豚は、昨夏にはテレビ朝日+六本木ヒルズの夏まつりでバーベキューの目玉メニューとしても使用されたそう。

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最近、飲食店などの看板メニューなどにときどき「松阪豚使用」という表示を見かけるようになった。

“松阪”といえば、もともと高級牛肉のイメージだけど、「松阪牛」と「松阪豚」って関係あるの? 

疑問に思い、調べたところ、「松阪豚」とはラージシャイング・インコーポレイテッドの登録商標で、三重県松阪市のアミティー(山越畜産)が大事に育てたこだわりの三元豚らしい(=写真)。

いつからあるのだろうか。注目されてきたきっかけは? 山越畜産の販売事業部・ラージシャイング・インコーポレイテッド代表の大江敏光さんに聞いた。

「『山越畜産 松阪豚プレミアム』は、平成21年に、松阪牛の認定を行う三重県松阪食肉公社より松阪牛に匹敵する豚であるという評価を受け、国内で唯一『松阪豚』を名乗ることを許可されたものです。平成22年から本格的な生産・品質管理を開始しています」

「松阪牛」を認定しているところが「松阪牛に匹敵する」と認めたということなので、同じ資格を持つ者同士、という感じだろうか。
ところで、松阪豚の始まりは昭和42年の一頭の豚の飼育から。実は約40年の年月をかけて作られたものと言う。
「高度経済成長期には約27万件もあった養豚農家が20 〜30年の間に約5000件にまで激減しています。さらにTPP参加でどんどん安価な輸入豚が入ってくる状況に対抗するためには、何か差別化を図らなければ、と考えたのです」

全国養豚経営者会議(現:社団法人 日本養豚協会)で6年間副会長を務めた山越弘一さんは、「生産性重視ではなく、日本人の舌に合う美味しい豚肉を」と考え、養豚農家に呼びかけた。そうした中で、改良を重ねてたどり着いたのが「山越畜産 松阪豚プレミアム」だったと言う。

「一般的に130〜170日で出荷できる効率重視のハイブリッドの養豚と違い、出荷まで230日という時間をたっぷりかけています。また、何代もかけ合わせてできた理想的な豚であること、オリジナルのこだわりの飼料に加え、やっぱり松阪の地下水と気候風土は大きいですね」

鈴鹿・大台山系の広葉樹の葉っぱが養分たっぷりの腐葉土を作る。そうしたミネラル豊富な地下水が、「松阪牛」や「松阪豚」を育てているということだ。

桜色でキレイなサシ(霜降り)が入り、つきたてのもちにたとえられるという脂身の組成は、油脂分30%、コラーゲンを70%も含んでいるという「松阪豚」。百貨店や一流店で使用され、口コミでじわじわと広がり、現在は生産が追いついていない状況という。
(田幸和歌子)