故障から復活したヤクルトの館山昌平[BASEBALLKING]

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 昨オフ3年総額12億円の大型契約を結び9年ぶりに日本球界に復帰した松坂大輔(ソフトバンク)は右肩痛に苦しみ一軍登板なし。杉内俊哉(巨人)は6勝をマークしたが、野球協約で規定される限度額を超える4億5000万円ダウンの5000万円でサインするなど、長年野球界を引っ張ってきた“松坂世代”の選手たちが苦しんだ1年となった。

 故障や不振に陥った選手が多かった“松坂世代”の中で、館山昌平(ヤクルト)は今季見事に復活した。館山は日本大学から02年ドラフト3位でヤクルトに入団。プロ入り後、数年間は先発や中継ぎを務めていたが、08年に自身2度目の二ケタ勝利を挙げると、先発に欠かせない存在となった。09年に16勝をマークし、最多勝のタイトルを獲得。08年から5年連続で二ケタ勝利を記録し、左の石川雅規とともにエースに君臨した。

 しかし、13年4月5日DeNA戦の登板で右肘に違和感を覚えて降板すると、検査の結果右肘靭帯が断裂していることが判明。4月12日に右肘内側側副靭帯再建手術(トミージョン手術)を受けた。同年は右肘を手術したため、シーズンを棒に振ってしまう。

 復帰を目指した14年は一軍キャンプに参加するなど順調に調整を進めていたが、4月5日の巨人との二軍戦に先発し、わずか1球で降板。同月中に自身3度目のトミージョン手術を受けた。

 2年間で2度も右肘の手術を受けた右腕だが、長いリハビリ生活の末、15年6月28日巨人戦で、814日ぶりに一軍登板。館山の復活登板に、右肩の故障で11年を最後に一軍登板から遠ざかっている後輩・由規は自身のTwitterで「僕も!後に続きます」と勇気をもらった。

 そして7月11日のDeNA戦、1019日ぶりの白星を手にした。久しぶりの神宮のお立ち台に帰ってきた背番号『25』は「いやぁ〜長かったですね。遅くなりました!」とファンに報告。復活勝利を挙げた館山は、その後も先発ローテーションの一員として、6勝をマーク。チームの14年ぶりとなるリーグ優勝にも大きく貢献した。

 松坂世代の世代頭の松坂を始め、杉内、村田修一(巨人)、久保康友(DeNA)、梵英心(広島)が苦しみ、東出輝裕(広島)、森本稀哲(西武)は現役を引退。今季は思うような働きができなかった選手が多かった中で、2年間故障で苦しんできた館山は“松坂世代”で最も輝きを放った選手となった。松坂、杉内、村田など今季の館山のように、もう一度活躍することに期待したい。