FPからのアドバイス:交通事故に遭った時にやってはいけないこと

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交通事故に遭うと、誰しも動揺してしまうものです。これは加害者も被害者も変わりません。仕事柄、さまざまな事故の話を見聞きしてきたファイナンシャルプランナー(FP)の立場から言いたいのは、交通事故に遭っても相手を怒鳴ったり叱ったりしてはいけないということ。これによって、示談交渉がうまくいかないことがあるからです。

相手を怖がらせることが招く不利


交通事故の当事者になった場合、加害者であれ被害者であれ、相手に対してカッとなってしまう状況はあるでしょう。しかし、感情のままに相手を怒鳴りつけたり叱ったりすることは、後々の不利を招きます。

特に、ご自身が男性や年配者で、相手が若い女性や子供のような場合は注意が必要です。交通事故の状況や損害箇所の確認、氏名や住所などの身元の聞き取りなどを行う時も、少し腰を低くして、丁寧に接することを心がけましょう。上から目線で接すると、相手から「威圧感を感じた」と言われかねません。

交通事故そのものは大したことはなくても、「あの時、(交通事故の現場で)怒鳴られて、とても恐い思いをした」と後々まで引きずることになり、示談の取り交わしまでに時間がかかったり、示談そのものが困難になったりすることもあります。

慰謝料を請求されるかも?


場合によっては、「交通事故の現場で、相手から怒鳴られ精神的な苦痛を生じた。交通事故とは別の慰謝料を請求する」という展開も想像できます。いまはスマホで簡単に録音・録画できる時代なので、証拠を押さえられたら不利になります。

交通事故の当事者は、事故という非常にネガティブな出来事をきっかけにして始まる人間関係です。そして、その相手についてまったく知らないところから、突然関係が始まります。高級車に乗っているからといって、必ずしもお金持ちで社会的な地位が高いとは限りません。逆に、常識のありそうな、良さそうな人に見えたとしても、「羊の面を被った狼」という可能性だってあります。

交通事故を起こした人に、「冷静になれ」というのは無理な相談かもしれません。しかし、最低限、大声を出して相手を萎縮させるようなことは、絶対NGです。これは、自分や相手の過失の度合に関係なく言えることです。事故に遭った時、このことを思い出してもらえれば幸いです。

<執筆>

●大泉 稔(おおいずみ・みのる)
ファイナンシャルプランナー。株式会社fpANSWER代表取締役、大泉稔1級FP技能士事務所主宰。1級FP技能士、生命保険大学課程、1種証券外務員。現在、「大人のための生命保険相談室」や「FP試験対策個別指導塾」、「交通事故被害者のための相談室」を展開中
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