日本郵政グループ3社の上場が大成功の一方で、 日経平均株価は伸び悩み、東証マザーズ指数は下落。 今の相場の波に乗りたい人が狙うべき銘柄は?
11月4日、「郵政祭り」の初日は大成功でした。
日本郵政(6178)(公開価格1400円)の初値は1631円、終値は1760円、ゆうちょ銀行(7182)(公開価格1450円)の初値は1680円、終値は1671円、かんぽ生命保険(7181)(公開価格2200円)の初値は2929円、終値は3430円のストップ高買い気配でした。
さらに、東証1部の売買代金トップが日本郵政、2位がゆうちょ銀行、4位がかんぽ生命保険でした。3社揃って、商いを伴いながら値を飛ばすという、理想的な船出となりました。
今回の案件は、バブル期の1987年に上場したNTT(9432)以来の大型案件です。知名度抜群の政府放出株の新規上場という安心感から、これまで株式投資に興味のなかった多くの投資家が、この郵政3社の売出株を購入するべく新規に口座を開設したようです。
主幹事証券の1社である野村証券では、新規口座の開設が通常の2倍に増加、SBI証券では、日本郵政グループ3社のブックビルディング申込者全体に対して、投資初心者の割合が46.8%だったそうです。また、上場初日の11月4日の午前取引終了時点で、大和証券のコンタクトセンターへの問い合わせ数は普段の2倍で、増加した件数のほとんどは郵政3社株に関する内容だったということです。これほどまでに、今回の上場に対して個人の関心が高まっています。
パッシブ運用を行う機関投資家やファンドの買いで
当面、郵政3社の需給は安定か
ちなみに、郵政3社の株式を取り扱う証券会社は、国内販売分の9割程度を個人投資家に販売する計画でした。よって、今後、パッシブ運用を行う機関投資家やファンドは、郵政3社の株式を市場から直接手当する必要に迫られ、その買いニーズは3社合計で2000億円規模と一部で試算されています。
郵政3社は時価総額が大きいので、東証株価指数(TOPIX)のほか、MSCIなどの主要株価指数へ採用される可能性があるためです。そして、この大量の買い需要への期待が、上場後の株価上昇の拠り所になる見通しです。
なお、他の小型のIPO銘柄のケースと異なり、今回、売出株を購入したり、初値で購入した個人投資家の多くは、「安定配当銘柄」「資産株」として、中長期で保有する公算が大きいと見られます。よって、当面の郵政3社の需給は良好ですので、「株価は上がり易く、下がり難い」と考えます。
短期筋は、郵政3社と指数連動ETFに集中
ところで、4日は後場に入り、かんぽ生命がストップ高を付けると、他の銘柄を売って、郵政3社を買う動きが加速し、日経平均株価は急速に伸び悩み、結局、安値引けとなりました。とりわけ、直近のIPO銘柄を中心に、小型株が酷く売られた感があります。
また、4日の日経平均株価は前日比1.30%高だったのに対して、東証マザーズ指数は同1.48%安と、対照的な動きでした。これは、「郵政3社のように値動きが良好で、大量商いのこなせる銘柄があるなら、わざわざ値動きが激しくても大量商いのこなせない銘柄を弄る必要はない」と、多くの短期筋が判断した結果でしょう。
今後、郵政3社の値動きが鈍るまでは、この傾向は続く見通しです。つまり、短期筋は、当分の間、郵政3社とNEXT FUNDS 日経レバレッジ指数ETF(1570)を集中的に売買するはずです。
アメリカFRBの利上げ観測も、日本市場の追い風に
テクニカル的に、日経平均株価に関しては、200日移動平均線(4日現在1万9226.95円)が強力に抵抗中です。これを上回ることができれば、売り方の買い戻しが加速することでしょう。一方、25日移動平均線(同1万8311.41円)は強力なサポートとして意識してよさそうです。
現在、金融緩和的な状況が世界的に長期化するとの期待から、投資家がリスクオンとなり、米国株が堅調に推移しています。また、やや矛盾しているようですが、その一方で、FRBが12月に利上げに踏み切るとの見方から米長期金利が上昇し、為替市場ではドル高・円安となっています。これは当然、東京株式市場には追い風です。
これに加えて、郵政3社が順調なスタートを切り、多くの個人投資家のマインドは良好です。このため、日経平均株価が200日移動平均線を上抜ける確度は非常に高いと考えます。
当面は、アクティブ運用よりもパッシブ運用が最強!
ところで、日経平均株価が1万9000円台を回復しても、郵政3社が好調でも、私の周りでは、ちっとも乗れていない個人投資家が多数います。「指数上がれど、わが株上がらず」の状況に陥っているのです。多くの場合、持ち株が日経平均株価の動きにあまり連動しない小型株です。また、当然のことながら、郵政3社も弄っていません。
あなたが、相場に上手く乗りたいのなら、当面は、人気沸騰中の郵政3社はもちろん、NEXT FUNDS 日経レバレッジ指数ETFをはじめとした指数連動ETFや、指数との連動性の高い銘柄だけを弄るようにするべきでしょう。現状のような相場は、「アクティブ運用」よりも、「パッシブ最強!!」という言葉を心の中で叫びながら、インデックスを積極的に売買することをおすすめします。