【インタビュー】向井理&綾野剛『お互いのことが分かってるので特別何かを話さなくても通じてた』
「ビッグコミック」で連載中のマンガ『Sエス -最後の警官-』を実写化した映画『S-最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE』が8月29日(土)より公開。2014年に放送されたドラマ版から「NPS(警察庁特殊急襲捜査班)」の隊員で“鉄拳の突一”・神御蔵一號を演じてきた向井理さんと、冷静沈着な天才スナイパー蘇我伊織を演じたてきた綾野剛さんに映画への思いを直撃。さらにインタビューを進めると、俳優としての「共通の思い」そして共通の「プライベート」が見えてきました!
――ドラマと今回の映画、撮影の雰囲気や意識の違いなどはありましたか。
作品に入るにあたっておふたりで何かお話されたことなどありましたか?
向井:ドラマの延長戦という感じで特に意識することもなく、すんなりと現場に入れました。
綾野:ドラマではお互いを意識しつつ、認知もしつつもぶつかりあったりする関係でしたが、映画では互いに「理解」に変わり、「お前はお前のやり方を貫けばいい。俺は俺のやり方を貫く」とお互いの考えを尊重しあうというのが、大きな変化としてあると思います。僕達は今回同じシーンが少なかったんですが、顔を合わせてもお互いのことが分かっているので特別何かを話さなくても通じていました。
向井:くだらない話はしていましたけど、演技について話すことはあまりなかったですね。お互い役者同士ですからね。
綾野:話したとすれば、「本(脚本)があがってきた時どう思った?」「このシーンこれだけしか(脚本が)書かれてないけど、きっと(撮影)大変そうだよね」とかそういう話はしました。僕は基本演技のプランを作らないんです。理もそうだと思うけど。
向井:そうですね。
綾野:監督の演出のもと(作品を)創っていくので、自分達で演技プランを作ってそれがダメだった場合、覆す方が大変なんです。だから基本的には作っていきません。
――ドラマから映画と時間があいていたとしても、キャラクターはその時間も成長しているのだろうと思うんですが、今回おふたりが新たに同じキャラクターを演じる上で、どこかキャラクターを成長させようと意識した点などはありましたか?
向井:一號の場合、連ドラの時は普通の町の警察官から特殊部隊に入るというわりと成長物語だったと思うんですけど、ドラマから今回の映画になった時にある程度成長した一號を見せたいと僕も思っていたので、あまりドタバタしなくなった、少し落ち着いた感じになったかなとは思います。
綾野:蘇我は、相変わらずストイックですが、感受性がさらに豊かになったのかとは思います。(新垣結衣演じる)イルマや青木崇高くんが演じた倉田隊長に起こる出来事にも、蘇我はクールだけど一度はちゃんと寄り添っている。もともと蘇我は感受する力に長けていると思うんですが、それがさらに深くなった感じはします。
――今回はセリフが少ない気がするんですが、感情をセリフではなく一號はアクションで、蘇我は目線などで表現しているように思ったのですが…。
綾野:今回は映画自体、セリフが少なく、大掛かりなアクションになっています。
向井:セリフが一番大変だったのは(大森)南朋さんや高嶋(政宏)さんでしたね。僕らは指示を仰ぐ立場で「どういう顔をしてそこに立っているか」が重要で。だからこそ逆に“嘘をつけない”ということで難しかったですね。でもそれはそれで楽しくもありました。
綾野:基本的に僕は必ずしもセリフだけには頼ってないんです。蘇我という役に対しては今回、あのセリフ量だけで十分といえば十分だったと思います。
――今回久しぶりの再会だったのですか?
綾野:飲んでたよね。
向井:飲んだりしていましたし、別のドラマ撮影のスタジオが隣同士だったのでしょっちゅう会ってましたね。
綾野:お互い本当に真ん前のスタジオで撮っていたので。
向井:そのドラマを撮ってすぐ今回の撮影だったので、全然久しぶりでもなんでもなかったんですよね(笑)。
確かにドラマ版から時間は空いてるとは思うんですけど、みんなそこまで久しぶりって感じではなかったです。そのスタジオに南朋さんも高嶋さんも平山さんもいたんですよ(笑)。
――それでは、すぐに空気感も作れたんですね。
綾野:(『Sエス-最後の警官-』の)ドラマに入る前から、映画化も決まっていたので、理もよく言いますけど「ドラマが終わっても、僕達は終わってない」という感じでした。1度(ドラマが終わって)落ち着いたというだけで、「一時解散」みたいな1年だったんです。なので僕は戻るのにまったく苦労はなかったです。
肉体的に体重を増やすという面はあったんですが、体を大きくする準備をするくらいで十分で。
向井:アクションの練習はしましたけど…気持ちの方は僕も特に新たに作るということはなかったですね。
――アクションに備えて何かやられていたことはありますか?
向井:オダギリさんとのアクションや、テロリストとのアクションはあらかじめ決まっていたので稽古したり、それに必要なウエイトだったり体幹だったりを鍛えました。期間は…別のドラマが入っていたので1ヶ月くらいですね。
――その位の期間でガッツリと?
向井:そうですね。でも、「その時にやっている仕事がいつも1番」だから。それをないがしろにするんだったら(作品を)1年に1本しかやっちゃいけないと思うんです。その時やっている仕事に負担のない形で、同時に並行しながら鍛えていました。
――綾野さんはいかがですか?
綾野:鍛えるのを基本に、食事も相当摂取しないといけなかったので最低でも5食は食べていました。海外作品と違って日本は体を鍛えるのに長期間の時間をとることが難しいということもあり、僕は3週間位の短期間で体を作らなければならなかったので大変でした。今は(体重を)落としてるのでそれはそれでキツイですね。
――今回は長崎や福岡、埼玉など全国を横断したロケ撮影だったそうですが、思い出に残っているロケ地を教えてください。
綾野:百里基地(茨城県)でヘリの撮影をしたんですが、ここはドラマ「空飛ぶ広報室」で大変お世話になった基地なんです。そこにまた来れたのは個人的には嬉しかったです。撮影は1日で終わるはずが3日かかったので大変でしたが、お世話になった方達に久しぶりにお会いできたのはやっぱり嬉しいです。
向井:僕も茨城ですね。百里基地で僕も訓練シーンの撮影があったんですけど。
綾野:いたの?
向井:スケジュール的にすれ違いだったけど、会ったじゃん。池内(博之)くんが茨城出身なので「どこかいいお店紹介して」とメールして、紹介してくれた“あんこう鍋”の店に行って…(綾野の方を見ながら)あんこう食べたよ(笑)。冬だったからおいしかったですね。嵐役の(平山)祐介さんと僕の役者は2人、あとはメイクやスタイリスト、スタッフと行きました。東京にいると撮影が終わればそこで別れるけど、地方だとみんな同じホテルだったりするので「夕飯一緒に食べようか」となったりして、そういうのが僕は好きですね。同じチームでみんなで戦ってるから。そういう人達と現場の意見を言い合ったり(笑)。いろんなストレスがあると思うんですよ、それを聞くっていうことも大事だし、コミュニケーションをとるのは地方でないとできなかったりもすると思うんです。
――向井さんは結構「聞き役」なんですか?
向井:結構聞きますよ。そこで発散して次の日カラッとしてくれるのであればいくらでも聞きます。うまいもの食って、飲んで、愚痴いってストレス発散して、楽しんでもらえるならいいですよね。
――お二人は同い年。役者になってからの年数も近いですが、昔と今とご自身変わったなと思う点はありますか?
綾野:昔は全然違いました。デビュー当時はコミュニケーションもとらなかったですし、人との時間も作らないで今みたいに飲みにも行かなかったし。なかば、ひきこもりみたいな感じでした。その“属さない”感じがかっこいいと思っていた時期もあったりしました。でもそういう経験を経ながら、「“スタート”と“カット”の間の集中力だけ保てれば、あとはオフでいいんじゃないか」という風にも思うようにもなりました。限りなく削いでいくというか。
向井:いろんな役をやってきたなぁと思います。作品によってそれぞれ違いますし、試行錯誤してきたなと思います。今もその過程の中にいて、昔と今と変わってきてることもあるし、今後もっと変わっていくかもしれないですし。でも、一応いつも気をつけているのはどんなことであれ「その時ベストだと思ったことをやる」ようにしています。「まったくセリフを覚えないであえて追い込んでみよう」と試して大失敗したこともありますけど(笑)、色々やってきた過程で得るものは得るし、捨てないといけないものは捨てなきゃならないから、そこを通って現状こうなってますけど、終わったわけじゃないので。これからまた変わっていくと思う。それは作品や役柄によっても変えていかないといけないものなので、とにかく「自分のやり方はコレ」っていう物は持たないようにしていますね。
――お話を聞いていると「自分を確立しよう」としている俳優の方達もいる中で、お二人とも、「真っ白」「透明」というイメージがします。
向井:現場に行ってみないとわからないですからね。自分の想像していたことも現場に行ったら全然違うことって多いから、なるべく「自分の世界だけで動かない」ようにしています。
綾野:(少し沈黙の後)…まあ、美しい透明さはないですよね。限りなく黒に近い白。
――とても意味深なお言葉ですね(笑)。
――最後に「Peachy」とは“ごきげん”“HAPPY”という意味のスラングなのですが、おふたりにとってのHAPPYの源を教えてください。
向井:「S-最後の警官-」チームに2年連続で誕生日を祝ってもらったことですね。連ドラの撮影が1月、今回の撮影も1月〜3月頃だったので剛も一緒に合同で祝ってもらいました。誕生日はいつも「S」をやっているなという思い出になりつつありますね。今、“ハマりたい”なと思っているのは、「バーベキュー」。バーベキューにハマろうかなと思っています(笑)。もともと好きで家のベランダとかでやってたんですけど、山行ってちゃんとやりたいなと。
――向井さんはお料理お上手ですもんね
向井:それは本当に偏見で…(笑)。料理をやってるイメージが強いだけで言うほどうまくないんですよ。
綾野:バーベキューにいい道具あるよ。この前やったから。小っちゃいのに煙が全然出ない道具を妻夫木(聡)くんが持ってた。
向井:今いろいろ(道具を)買ってるんだよね。今度行こう!デイキャンプ。
綾野:行こうか。俺もバーベキュー好き。野菜はね、アルミで焼いて、ちょっとだけ酒入れて蒸した後、軽く焼いた方が全然おいしい。
――本格的ですね。
向井:ちょっと本格的にバーベキューやろうと思ってますね。
――綾野さんのハッピーの源はなんですか?
綾野: 食べたことないものを食べたりするのが好きなんです。お店もおいしい所を見つけたい思いが強いんです。東京だとある程度行くお店も固定化されてきたので、また新しい所を見つけたいです。東京だと馬刺メインのおいしいお店があるって聞いて…。
向井:●●●?(場所)
綾野:そう!!
向井:すごいおいしいよ〜あそこ!
――(笑)。おいしいお店探しと、あとは綾野さんもバーベキュー?
綾野:アウトドア派ではないんでどちらかというと誰かの家の広いベランダとかでバーベキューできたらいいですよね。
『S-最後の警官-奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE』は8月29日(土)より公開。
映画公式サイト:http://www.s-lastpoliceman-movie.com/
撮影:鈴木愛子
取材・文:木村友美
制作・編集:iD inc.
『お互いのことが分かってるので特別何かを話さなくても通じてた』
――ドラマと今回の映画、撮影の雰囲気や意識の違いなどはありましたか。
作品に入るにあたっておふたりで何かお話されたことなどありましたか?
向井:ドラマの延長戦という感じで特に意識することもなく、すんなりと現場に入れました。
綾野:ドラマではお互いを意識しつつ、認知もしつつもぶつかりあったりする関係でしたが、映画では互いに「理解」に変わり、「お前はお前のやり方を貫けばいい。俺は俺のやり方を貫く」とお互いの考えを尊重しあうというのが、大きな変化としてあると思います。僕達は今回同じシーンが少なかったんですが、顔を合わせてもお互いのことが分かっているので特別何かを話さなくても通じていました。
向井:くだらない話はしていましたけど、演技について話すことはあまりなかったですね。お互い役者同士ですからね。
綾野:話したとすれば、「本(脚本)があがってきた時どう思った?」「このシーンこれだけしか(脚本が)書かれてないけど、きっと(撮影)大変そうだよね」とかそういう話はしました。僕は基本演技のプランを作らないんです。理もそうだと思うけど。
向井:そうですね。
綾野:監督の演出のもと(作品を)創っていくので、自分達で演技プランを作ってそれがダメだった場合、覆す方が大変なんです。だから基本的には作っていきません。
――ドラマから映画と時間があいていたとしても、キャラクターはその時間も成長しているのだろうと思うんですが、今回おふたりが新たに同じキャラクターを演じる上で、どこかキャラクターを成長させようと意識した点などはありましたか?
向井:一號の場合、連ドラの時は普通の町の警察官から特殊部隊に入るというわりと成長物語だったと思うんですけど、ドラマから今回の映画になった時にある程度成長した一號を見せたいと僕も思っていたので、あまりドタバタしなくなった、少し落ち着いた感じになったかなとは思います。
綾野:蘇我は、相変わらずストイックですが、感受性がさらに豊かになったのかとは思います。(新垣結衣演じる)イルマや青木崇高くんが演じた倉田隊長に起こる出来事にも、蘇我はクールだけど一度はちゃんと寄り添っている。もともと蘇我は感受する力に長けていると思うんですが、それがさらに深くなった感じはします。
『“ドラマが終わっても、僕達は終わってない”という感じでした』
――今回はセリフが少ない気がするんですが、感情をセリフではなく一號はアクションで、蘇我は目線などで表現しているように思ったのですが…。
綾野:今回は映画自体、セリフが少なく、大掛かりなアクションになっています。
向井:セリフが一番大変だったのは(大森)南朋さんや高嶋(政宏)さんでしたね。僕らは指示を仰ぐ立場で「どういう顔をしてそこに立っているか」が重要で。だからこそ逆に“嘘をつけない”ということで難しかったですね。でもそれはそれで楽しくもありました。
綾野:基本的に僕は必ずしもセリフだけには頼ってないんです。蘇我という役に対しては今回、あのセリフ量だけで十分といえば十分だったと思います。
――今回久しぶりの再会だったのですか?
綾野:飲んでたよね。
向井:飲んだりしていましたし、別のドラマ撮影のスタジオが隣同士だったのでしょっちゅう会ってましたね。
綾野:お互い本当に真ん前のスタジオで撮っていたので。
向井:そのドラマを撮ってすぐ今回の撮影だったので、全然久しぶりでもなんでもなかったんですよね(笑)。
確かにドラマ版から時間は空いてるとは思うんですけど、みんなそこまで久しぶりって感じではなかったです。そのスタジオに南朋さんも高嶋さんも平山さんもいたんですよ(笑)。
――それでは、すぐに空気感も作れたんですね。
綾野:(『Sエス-最後の警官-』の)ドラマに入る前から、映画化も決まっていたので、理もよく言いますけど「ドラマが終わっても、僕達は終わってない」という感じでした。1度(ドラマが終わって)落ち着いたというだけで、「一時解散」みたいな1年だったんです。なので僕は戻るのにまったく苦労はなかったです。
肉体的に体重を増やすという面はあったんですが、体を大きくする準備をするくらいで十分で。
向井:アクションの練習はしましたけど…気持ちの方は僕も特に新たに作るということはなかったですね。
『地方だと皆で食事に行ったり…そういうのが僕は好きですね。同じチームでみんなで戦ってるから』
――アクションに備えて何かやられていたことはありますか?
向井:オダギリさんとのアクションや、テロリストとのアクションはあらかじめ決まっていたので稽古したり、それに必要なウエイトだったり体幹だったりを鍛えました。期間は…別のドラマが入っていたので1ヶ月くらいですね。
――その位の期間でガッツリと?
向井:そうですね。でも、「その時にやっている仕事がいつも1番」だから。それをないがしろにするんだったら(作品を)1年に1本しかやっちゃいけないと思うんです。その時やっている仕事に負担のない形で、同時に並行しながら鍛えていました。
――綾野さんはいかがですか?
綾野:鍛えるのを基本に、食事も相当摂取しないといけなかったので最低でも5食は食べていました。海外作品と違って日本は体を鍛えるのに長期間の時間をとることが難しいということもあり、僕は3週間位の短期間で体を作らなければならなかったので大変でした。今は(体重を)落としてるのでそれはそれでキツイですね。
――今回は長崎や福岡、埼玉など全国を横断したロケ撮影だったそうですが、思い出に残っているロケ地を教えてください。
綾野:百里基地(茨城県)でヘリの撮影をしたんですが、ここはドラマ「空飛ぶ広報室」で大変お世話になった基地なんです。そこにまた来れたのは個人的には嬉しかったです。撮影は1日で終わるはずが3日かかったので大変でしたが、お世話になった方達に久しぶりにお会いできたのはやっぱり嬉しいです。
向井:僕も茨城ですね。百里基地で僕も訓練シーンの撮影があったんですけど。
綾野:いたの?
向井:スケジュール的にすれ違いだったけど、会ったじゃん。池内(博之)くんが茨城出身なので「どこかいいお店紹介して」とメールして、紹介してくれた“あんこう鍋”の店に行って…(綾野の方を見ながら)あんこう食べたよ(笑)。冬だったからおいしかったですね。嵐役の(平山)祐介さんと僕の役者は2人、あとはメイクやスタイリスト、スタッフと行きました。東京にいると撮影が終わればそこで別れるけど、地方だとみんな同じホテルだったりするので「夕飯一緒に食べようか」となったりして、そういうのが僕は好きですね。同じチームでみんなで戦ってるから。そういう人達と現場の意見を言い合ったり(笑)。いろんなストレスがあると思うんですよ、それを聞くっていうことも大事だし、コミュニケーションをとるのは地方でないとできなかったりもすると思うんです。
――向井さんは結構「聞き役」なんですか?
向井:結構聞きますよ。そこで発散して次の日カラッとしてくれるのであればいくらでも聞きます。うまいもの食って、飲んで、愚痴いってストレス発散して、楽しんでもらえるならいいですよね。
『“属さない”感じがかっこいいと思っていた時期もあった』
――お二人は同い年。役者になってからの年数も近いですが、昔と今とご自身変わったなと思う点はありますか?
綾野:昔は全然違いました。デビュー当時はコミュニケーションもとらなかったですし、人との時間も作らないで今みたいに飲みにも行かなかったし。なかば、ひきこもりみたいな感じでした。その“属さない”感じがかっこいいと思っていた時期もあったりしました。でもそういう経験を経ながら、「“スタート”と“カット”の間の集中力だけ保てれば、あとはオフでいいんじゃないか」という風にも思うようにもなりました。限りなく削いでいくというか。
向井:いろんな役をやってきたなぁと思います。作品によってそれぞれ違いますし、試行錯誤してきたなと思います。今もその過程の中にいて、昔と今と変わってきてることもあるし、今後もっと変わっていくかもしれないですし。でも、一応いつも気をつけているのはどんなことであれ「その時ベストだと思ったことをやる」ようにしています。「まったくセリフを覚えないであえて追い込んでみよう」と試して大失敗したこともありますけど(笑)、色々やってきた過程で得るものは得るし、捨てないといけないものは捨てなきゃならないから、そこを通って現状こうなってますけど、終わったわけじゃないので。これからまた変わっていくと思う。それは作品や役柄によっても変えていかないといけないものなので、とにかく「自分のやり方はコレ」っていう物は持たないようにしていますね。
――お話を聞いていると「自分を確立しよう」としている俳優の方達もいる中で、お二人とも、「真っ白」「透明」というイメージがします。
向井:現場に行ってみないとわからないですからね。自分の想像していたことも現場に行ったら全然違うことって多いから、なるべく「自分の世界だけで動かない」ようにしています。
綾野:(少し沈黙の後)…まあ、美しい透明さはないですよね。限りなく黒に近い白。
――とても意味深なお言葉ですね(笑)。
向井&綾野『ハッピーの源は…』
――最後に「Peachy」とは“ごきげん”“HAPPY”という意味のスラングなのですが、おふたりにとってのHAPPYの源を教えてください。
向井:「S-最後の警官-」チームに2年連続で誕生日を祝ってもらったことですね。連ドラの撮影が1月、今回の撮影も1月〜3月頃だったので剛も一緒に合同で祝ってもらいました。誕生日はいつも「S」をやっているなという思い出になりつつありますね。今、“ハマりたい”なと思っているのは、「バーベキュー」。バーベキューにハマろうかなと思っています(笑)。もともと好きで家のベランダとかでやってたんですけど、山行ってちゃんとやりたいなと。
――向井さんはお料理お上手ですもんね
向井:それは本当に偏見で…(笑)。料理をやってるイメージが強いだけで言うほどうまくないんですよ。
綾野:バーベキューにいい道具あるよ。この前やったから。小っちゃいのに煙が全然出ない道具を妻夫木(聡)くんが持ってた。
向井:今いろいろ(道具を)買ってるんだよね。今度行こう!デイキャンプ。
綾野:行こうか。俺もバーベキュー好き。野菜はね、アルミで焼いて、ちょっとだけ酒入れて蒸した後、軽く焼いた方が全然おいしい。
――本格的ですね。
向井:ちょっと本格的にバーベキューやろうと思ってますね。
――綾野さんのハッピーの源はなんですか?
綾野: 食べたことないものを食べたりするのが好きなんです。お店もおいしい所を見つけたい思いが強いんです。東京だとある程度行くお店も固定化されてきたので、また新しい所を見つけたいです。東京だと馬刺メインのおいしいお店があるって聞いて…。
向井:●●●?(場所)
綾野:そう!!
向井:すごいおいしいよ〜あそこ!
――(笑)。おいしいお店探しと、あとは綾野さんもバーベキュー?
綾野:アウトドア派ではないんでどちらかというと誰かの家の広いベランダとかでバーベキューできたらいいですよね。
『S-最後の警官-奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE』は8月29日(土)より公開。
映画公式サイト:http://www.s-lastpoliceman-movie.com/
撮影:鈴木愛子
取材・文:木村友美
制作・編集:iD inc.