がしこう打線が沈黙。大阪産大附の投手陣を攻略出来ず

「がしこう」堺東の部員は自分達の高校の略称をそう呼ぶ。ベースボールティーシャツは”がしティー”、1試合平均8点を挙げた強力打線は”がしこう打線”となる。堺東はグラウンドを使える日が限られている関係で守備練習は満足に行えない。そのため少々失点してもそれ以上に取り返す野球が持ち味。準々決勝までの勝ち上がりも5試合で得点40に対し失点も19と攻めも守りも派手な展開が多かった。

 好左腕・當麻 渾哉(3年)を擁する大阪産大附との対戦となった準々決勝もある程度の失点は覚悟、その上でいかに當麻を攻略するかがポイントだった。しかし、その目論見は初回で崩れてしまう。

 先発マウンドを任されたのは5回戦で完投した北野 翔太(3年)ではなく変化球主体の中辻 貴也(3年)。しかしボール先行のピッチングになったことに加えてストレートの走りが悪く緩急が使えずにいきなり6失点。2回になっても復調する気配はなく、一死一、二塁で高瀬 廉(3年)がリリーフするが投じた第1球目に死球を与え一死満塁とピンチ拡大。大阪産大附のキャプテン・森村 将哉(3年)を内野ゴロに抑えるがこの間に1点を失い、続く福井 健太郎(3年)のライナー性の打球はセンター前方へ。守備範囲が自慢の大谷 隼(3年)が果敢にギャンブルするが後逸し2失点、この後さらにエラーでも1点を失い早くも10点差がついた。

 大量援護を受けた大阪産大附の先発・當麻は威力あるストレートを軸に3回を無安打無失点。4回はサイドスロー左腕・森安 泰良(3年)が無失点で抑え、5回はエース・當麻と遜色ない球威を誇る2年生右腕・播磨 駿介がマウンドへ。点差のついた場面ではあったが次期エース候補に夏のマウンドを経験させられたことは、2月から指揮を執り今大会が夏の初采配となる大阪産大附の櫻井 数美監督にとって大きかったに違いない。

 堺東は井上 孝介監督の指示を聞く試合前の円陣でも緊張感と気合を漲らせるというよりは笑顔が見られ、締めの声出しの後には津田 海斗(3年)と高瀬が飛び跳ねスタンドの部員を盛り上げるなどしていたが、11点を追う5回の攻撃前にはさすがに表情が固く、最後の攻撃も三者凡退。試合を通して放った安打は4番・西埜植 知舞(3年)のツーベースヒット1本だけと自慢の“がしこう打線”の力を発揮出来ず。それでも整列時には普段の明るい表情に戻り、試合後の球場外では選手、保護者、OBなど関係者全員による大集合写真の撮影が行われていた。

(文=小中 翔太)

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