横浜、桐光学園の粘りを振り切る 5番石川のサヨナラ安打で2年ぶりの決勝へ

 2012年、2013年と死闘を演じてきた横浜vs桐光学園。この試合も1点を争う好勝負となった。横浜の先発は石川 達也(2年)。立ち上がりは四球を出すなど、やや苦しい立ち上がり。1回裏、横浜2番戸堀敦矢(2年)が四球で出塁、戸堀は盗塁を仕掛け、3番三河 聖央(3年)の内野ゴロの間に二死三塁となって4番公家 響(2年)の投手強襲安打で1点を先制する。2回表、二死二塁のピンチを招くがしっかりと抑える。

 石川は130キロ前半のストレート、スライダー、カーブを投げ分け、4回まで無失点に抑えていたが、5回途中で降板。だが2番手・春日井 静斗(3年)も5回は抑え、その裏、一死二塁から三河の適時打で1点を追加し、2対0とする。しかし公家が併殺に倒れ、嫌な流れなところで、桐光学園は2番・渡部遼人(1年)の四球、根本 郁也(3年)の三塁線へのバント安打で一、二塁のチャンスを作ると、恩地が凡退したが、中川 颯(2年)の中安で一死満塁。この場面で3番手にエース・藤平 尚真(2年)が登板。しかしパスボール、田中 幸城(3年)の適時打、大坪 亮介(2年)のスクイズで勝ち越しに成功。単打、小技が鮮やかに決まり、あっさりと逆転に成功した。さすが桐光学園、畳みかける時の攻撃は抜け目がない。

  だが横浜は7回二死から増田 珠(1年)が振り抜いた打球はレフトスタンドへ。何と一発で同点に追いついてしまう。1年生ながら横浜のセンターを守る増田。守備範囲の広さ、地肩の強さ、打撃の正確性はとても1年生とは思えないレベルだが、そして遠くへ運ぶパワーもある。この日はアンダースローの中川から安打を放ったように多くの好投手から安打を放っており、どのタイプにも対応ができる。打撃技術は大きな欠点はなく、今、清宮 幸太郎が騒がれているが、野球選手としてのスキルの高さは上回っているものがあるのではないだろうか。その後はエース藤平が、最速139キロのストレートを軸に桐光学園打線をねじ伏せる。

 試合は9回になっても決着がつかず、10回裏、一死二塁から5番石川が右中間を破る適時二塁打でサヨナラ勝ち。ノーシードから決勝まで勝ち進んだ。このケースは2010年と似ているが、個々の力量は上だろう。ただところどころで守備のミスがあり、横浜らしさを欠くところはある。決勝戦ではそういうミスを崩さずに試合運びができるか。渡辺元智監督のラストサマーも、甲子園まで続く可能性が出てきた。次の決勝戦は一番険しい戦いになる。

  選手たちは今まで以上の底力を発揮できるかがカギとなりそうだ。

(文=河嶋 宗一)

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