滝川第二、堅守と卓越した打撃技術で13安打9得点!須磨翔風を圧倒

 26日の兵庫県神戸市は雲一つない快晴で最高気温は32度。夏の日差しが燦々と降り注ぐ中、ほっともっとフィールド神戸にて開催された兵庫大会準々決勝には多くの高校野球ファンが詰めかけた。

 この日の二試合目に登場したのは、前日に延長サヨナラ劇で姫路南を下し、勢いに乗る須磨翔風と4、5回戦の投手戦を共に1対0のスコアで制し、ベスト8進出を果たした滝川第二。先発投手を任されたのは、須磨翔風が左腕・永井 壱弥(2年)、滝川第二がエース・友井 寛人(2年)。13時ジャストにプレーボールがかかった。

 試合は序盤で動いた。2回表、須磨翔風は二死後、藤中 駿弥(3年)が中前ヒットで出塁すると、8番・永井が三塁線を破るタイムリー二塁打を放ち、1点を先制。

 しかし、その裏、滝川第二は山名 大夢、結城 宝、青木 瑛次の3連打の後、8番・芝本 裕樹(3年)の放った内野ゴロの間に三塁走者が生還し、たちまち試合を振り出しに戻す。二死後、1番・根来 祥汰(3年)がライト線への二塁打を放ち、勝ち越し。ここで須磨翔風は背番号1を着けたエース・才木 浩人(2年)をマウンドに送り出すも、2番・大嶋 雅人(2年)に左前2点タイムリーを許し、このイニング、電光式のスコアボードには「4」の数字が灯った。

 滝川第二は続く3回にも7番・青木のライト線へのタイムリー二塁打、4回には3番・川北 陽大がライトスタンドへ3ランホームランを叩き込み、4回終了時点でリードを7点に広げる。7回には6番・結城がタイムリースリーベースをライト線へ放ち、9得点目。安打数は最終的に13本を数えた。

 一方の須磨翔風は好機を作るも、あと一本が出ない。5回に4番・坂下 遼太郎主将が綺麗な放物線をレフトスタンドへ架け、2点を返すも、反撃はここまで。4回途中から登板した滝川第二の森 将秀は右サイドからテンポよく投げ込み、6回を被安打3、2失点。滝川第二が9対3で須磨翔風を退け、準決勝進出を果たした。

 1番から7番まで左打者が並ぶ滝川第二打線で目についたのは、カウントを追い込まれてからの打撃の質の高さ。体の開きを限りなく抑えた、ツイストの利いたフォームから、逆方向へ鋭い打球を打ち返していくシーンをこの日、幾度目撃したことだろう。ファウルを打つ技術にも長け、低めのボール気味の変化球を拾える対応力も備えた、バッテリー泣かせの打者が並ぶ。滝川第二は守りにおいてもノーエラー。内野にも天然芝が敷き詰められた不慣れな球場ながら、12個を数えた内野ゴロをすべて難なく処理。ディフェンスの堅さも存分に見せつけた。

 須磨翔風の誤算は、2回途中にマウンドに上がったエース・才木が本来の出来とは程遠かったこと。この日を含む4日間で投げたイニング数は25回1/3。前日も10回を一人で投げ抜いており、疲労の蓄積が感じ取れる投球内容だった。須磨翔風・中尾 修監督は「好機で一本が出ていれば…。選手たちに勝たせてあげたかった」と悔しさを滲ませた。

 試合後、責任を背負い込み、嗚咽をもらしながら、泣き続ける才木の姿があった。この夏、須磨翔風投手陣を支えた才木、中野 克己、永井は全員が2年生。この悔しい夏の敗戦は、秋以降のリベンジへの糧となるはずだ。

 滝川第二は28日、決勝進出をかけ、明石トーカロ球場で西脇と対戦する。

(文=服部 健太郎)

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