勝負を決めた植田匡哉の一発!汎愛がベスト8入り!

 午前11時過ぎの大阪市南港中央野球場は海が近いにもかかわらず、ほぼ無風。球場全体が熱を持ち、球児たちを苦しめる。そんななかこの日の第2試合、汎愛と関大一の対戦が始まった。

 汎愛は昨夏はまさかの初戦敗退。この夏は難敵・千里星雲を1対0と接戦で抑えると、勢いに乗りベスト16まで来た。関大一は昨夏は2回戦敗退だったが、その悔しい思いを胸にチームを鍛え、今春はベスト8に進出。この夏に向け、チーム力を高めている。

 汎愛・阿久根 研太、関大一・本木 重太郎の両先発で始まった試合は、両者苦しい立ち上がりだった。1回表、関大一は二死から3番・木村 宥がヒットで出塁。すると汎愛・阿久根が2連続死球を出し、満塁とする。6番・濱口 恵輔の内野ゴロが汎愛守備陣のエラーを誘い、三塁から木村が生還。関大一が1点を先制する。

 その裏、汎愛は1番・田保 侑也が左中間へ大き打球を放つ。二塁で止まるかと思われたが、中継がややもたつくのを見て一気に三塁を陥れる。すると続く2番・宮武 義明がセンターへ弾き返し、汎愛が早々に同点に追いつく。さらに汎愛はヒットと四球などで二死満塁とすると、7番・阿久根 研太のタイムリーで勝ち越しに成功。8番・谷 悟基が押し出しの四球を選び、この回3点を挙げる。

 その後は両投手が立ち直る。汎愛・阿久根はテンポよく投げ込み、関大一を次々と三者凡退に仕留めていく。関大一・本木も回が進むごとに球の切れもテンポも上がっていく。

 しばらく膠着状態となっていた試合が再び動いたのは6回表だった。関東一は先頭の2番・中村 勇太が四球を選び出塁。3番・木村はバントの構えを見せる。6回無死、2点差。セオリー通りバントかと思われたその時、木村はバントの構えからすっとバットを引き、バスター。しっかり振り切ったバットから放たれた打球はゴロで左中間を深々と破るタイムリースリーベースに。さらに4番・北川 拓輝がレフトへの犠牲フライを放ち、関大一が同点に追いつき、試合を振り出しに戻した。

 徐々に強まる関大一ムード。だが、それを汎愛が一発で打ち払う。7回裏、ランナーを1人置き、3番・植田 匡哉がレフトへホームランを放ち、一気に勝ち越し。さらに1点を追加した汎愛が6対3とし、試合の流れ、そして球場の空気は一気に握り返した。

汎愛は8回裏にも1点を追加。9回の関大一の攻撃を三者凡退に抑え、準々決勝進出を決めた。ドラマチックな展開に、球場のざわつきはいつまでも収まろうとしなかった。

(文=青木 有実子)

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