足で魅せた恐怖の1番打者・井上浩輝

 第1試合とは打って変わって、厚い雲の隙間から太陽が見える程天候が回復したほっともっとフィールド神戸。第2試合を戦うのは、今春の兵庫大会8強の報徳学園と、昨夏は1回戦敗退ながらも今大会ではここまで2試合で16得点で失点は5の小野。

 戦いは試合の前から始まっていた。1塁側の報徳学園の応援スタンドからは迫力満点の大応援団の応援が球場の雰囲気を支配する。応援を始めると球場中の視線を集める。しかし3塁側の小野の応援団も、人数こそは報徳学園よりも少ないものの、1人1人が体全体を使った元気な応援で選手たちを鼓舞する。

 そんな応援に応えるべく、両チームともに初回から動きを見せる。報徳学園の1番・井上 浩輝が右翼のフェンス直撃の当たりに快速を飛ばして三塁まで到達する。そして、2番・波田 逸平が右翼への犠飛で1点を先制に成功する。その後、4番の森井 拓眞が右中間へ打球を運び安打とするも、後続を小野の先発・黒崎 健太郎が抑え、これ以上の得点は得られなかった。

 しかし1回裏に小野の2番・後藤 僚太のバント安打で出塁すると、すぐさま盗塁を決め一死二塁とすると、3番・安則 翔馬が中前へ打球を運びこれが同点の適時打となる。

 同点にされた報徳学園は、すぐさま追加点を狙いにかかる。2回表に先頭の6番・福元 大斗が中前安打で出塁し、8番・主島 大虎が左前安打で続くと一死一、三塁の場面で9番・多鹿丈一郎がスクイズを試み成功。1点を追加し、続くは先制点の立役者である1番・井上が中前へ2塁打を放ち、さらに1点を追加。再びリードを奪う。

 ここから、報徳学園が幾度となく攻めにかかるが、なかなか得点に繋がらない。6回に1点を追加するものの、チャンスの場面で小野の先発・黒崎と2番手投手・井上 直人に抑え込まれてしまう。

 9回表の報徳学園の攻撃が終了した時点で3点差の小野は、9回裏の攻撃に全てを懸ける。先頭の4番・久保田 剛史が内野安打で出塁すると、5番・内藤 大地も中前安打で続く。8番・井村 雄大も右前安打で出塁し、二死満塁と一打逆転の場面を迎える。しかし、ここを報徳学園先発の主島が三振に抑え試合終了。

 試合のキーマンとなったのは、1失点完投の主島 大虎と1番打者の井上 浩輝であった。井上は先制のきっかけとなった3塁打を含む3安打1打点の活躍を見せた。ミート力と走力を兼ね備えた恐ろしい1番打者として、今後も注目されるに違いない。

(文=佐藤 友美)

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