原嵩、与力十分!7回10奪三振完封で専大松戸がベスト8!

 専大松戸の原 嵩、我孫子東の宮城 正規とポテンシャルの高さならば今年の千葉県を代表する2人の投げ合いが実現した。

 この試合、まさに原がゲームを支配したといってもいい見事な投球であった。 先制したのは専大松戸。一死二、三塁から7番川添雄晴がスクイズを試み、宮城が処理し、本塁へトスするも、恩田がボールをこぼしてしまい、専大松戸が1点を先制する。

 宮城は初戦と比べると慎重な立ち上がり。135キロ前後(最速139キロ)のストレートを両サイドに投げ分け、スライダー、カーブの比率を多くして、芯に当てさせない投球。

 原だが、昨秋と比べると格段に良くなった。昨秋は投球フォーム改造中で、コントロールも不安定だった。しかし半年間を経て、テイクバックまでの流れがスムーズになり、意図通りにボールを投げられるようになっている。また左足をゆったりと上げて、間合いを取るようになり、タイミングを外そうとする意識は1年生と比べるとかなり高まった。

 球速は、常時135キロ〜140キロと突出したスピードではないが、コントロールが安定している。合間を見て、スライダー、カーブ、フォークを投げ分け、我孫子東打線を封じこむ。

 どちらかというと投手しての原は荒削りだったが、だいぶ投手らしい投球を見せるようになっている。コーナーに投げ分けたり、変化球が弱い打者と見れば、変化球中心に攻めたり、押していきたいところではしっかりとストレートで押したり、投球に意図が感じられるのは去年からの大きな成長である.

 打線は宮城の慎重な投球になかなか捉えきれていなかった専大松戸だが4回表、原が粘りながら、中前安打。二死二塁から7番川添(2年)がストレートを打ち返し、センターを破る長打に。また前進守備を敷いていたということもあり、ボールは広いQVCマリンフィールドに転々と転がり、川添はホームまで生還するランニングホームランとなった。

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さらに5回表には渡辺が四球で出塁すると、渡辺は盗塁を決め、そして高田 拓実(3年)の右前適時打で4対0と点差を広げると、一死一、二塁となって、5番河村 佳祐(3年)が右中間を破る適時三塁打で6対0と差を広げ、宮城は降板。岩田 裕生(3年)が登板するが、猪爪が適時三塁打を放ち、7対0と差を広げる。川添も適時打を放ち8対0と点差を広げる。これまで4番を打っていた渡辺。1番を打つようになってから盗塁を仕掛けたり、ボールを選んだりと、打席の食らいつきがだいぶ良くなってきた。遊撃守備はもう少しワンテンポ動作が早くなるとよりうまく見えるが、とにかくスローイングが強い。

 この日は無安打。本領発揮は次の試合となりそうだ。 この日の原は与力十分の投球であった。3回に最速144キロを出すが、その後は、135キロ〜140キロのストレートと変化球のコンビネーションで投球を構成し、我孫子東打線を翻弄。そして最後はギアを入れる。ストレートのスピードが常時140キロを超え、最速145キロを計測。三者連続三振で試合を締め、原が7回10奪三振完封勝利。専大松戸がベスト8進出を決めた。最後まで我孫子東打線を相手にさせなかった。

 原は先輩の上沢 直之 を比較されることが多い。フォームの美しさ、伸びのある直球という点では上沢が上回っているが、だが上沢はコントロールが不安定になることが多く、そのため粘られると球数が多くなり、いわゆる燃費が悪い投手であった。今でも中々イニングを投げぬけないことを課題にしているが、高校時代はもっと球数が多く、今はだいぶ角が取れてきた方である。

 一方、原は、先ほど説明したように意図通りの投球ができるということは球数を少なく収められること。上沢が球数が少なく収まるときはストレートの走りが良く、それ一本で抑えられるとき。原はストレート、変化球ともにストライクが取れて、7割〜8割ぐらいでも、140キロ前後の速球を投げることができるのだから、優位に投球を組み立てることができるのだ。この点は上沢より優れている点といえるだろう。

 先発としてこれほどの投球を見せたのは予想以上であった。この3年間、投手として大きく成長したと感じさせる試合であった。また打っても2安打。この男が最後まで投打で躍動すれば、初の甲子園は見えてくる。

(文=河嶋 宗一)

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