個性派集団・滑川総合!シード校春日部東を下し5回戦へ!

 猛暑日の予報も出たうえ、この日も朝から暑い7月21日。埼玉県では4回戦が行われた。さいたま市営大宮球場での第1試合は、滑川総合と、シード校・春日部東の対戦。滑川総合は2回戦では浦和西を9対2、3回戦では浦和東を15対0と、東西浦和勢を猛打で退けてきた。一方、春日部東は2回戦、秩父を6対0で下し、3回戦では飯能南を2対1と接戦で倒してきた。

 試合は滑川総合・野本 大生、春日部東・菅谷 哲朗の両先発で始まった。1回表、滑川総合は強いスイングからの鋭い打球で春日部東内野陣のエラーを誘い二死一、三塁のチャンスを作るが得点ならず。その裏、春日部東もコントロールの定まらない野本から3つの四死球を選び二死ながら満塁とするも、得点ならず。両チームとも立ち上がりの不安定さを見せるが最後の一歩で踏みとどまり、徐々に本来の姿を取り戻し、試合は膠着状態になっていく。

 試合が動いたのは5回。滑川総合は二死から1番・森 大朗がセンター頭上を超えるスリーベースで出塁すると、2番・島田 慶彦がすかさずレフトへタイムリーを放ち、1点を先制する。だがその裏、春日部東もヒットで出塁した1番・仲井間 廉を二塁に置き、4番・森合 将也がレフトへ弾き返し、同点に追いつく。

 一進一退の攻防を繰り返す両チーム。先に動いたのは滑川総合だった。7回表、先頭の7番・新島 将人がヒットで出塁。続く打者は、3回以降立ち直り、1失点ながら好投する野本。ここで滑川総合は代打・馬場 優治を送り込む。馬場は163センチと小柄な体ながら、バットを刀のように振り回したり体逸らせてジャンプをしたりと大きなアクションを見せる。しまいにはセンター方向へ向け指を向け、何やら予告めいた仕草を見せる。これにはスタンドはもちろん球場も大盛り上がり。一気に滑川総合が空気を作り出す。肝心の馬場の打席は、良い当たりながらサードゴロでランナー入れ替わり。代走と交代する。その後滑川総合は一死満塁とチャンスを作り出す。ここは春日部東・菅谷が踏ん張り得点にはならなかったが、この馬場の作り出した空気が、後々効いてくる。

 滑川総合はその裏、野本から代わったアンダースロー・松尾 洋志が指をすらんばかりに低い位置から投球。すいすいと春日部東を打ち取りムードをさらに盛り上げる。

 そして8回表、滑川総合は二死ながら一、二塁のチャンスを作り出す。打順は先程好投を見せた松尾。ここでも滑川総合は迷うことなく代打を送り込む。その代打・西田 和生はセンター前へと打球を弾き返す。二塁ランナーの高橋 幸之介は三塁を蹴り本塁へ突入。センターからストライクの送球が返るものの、高橋のスライディングが一足早く、滑川総合がついに1点を勝ち越す。

 その後は滑川総合のマウンドを託された中嶋 健太が春日部東を抑え込み、滑川総合が接戦をものにした。滑川総合はグランド整備から低い姿勢で勢いよく声を出し相手を圧倒するなど、スタンドを含めて雰囲気を作り出すのが上手い。各選手の強烈な個性を適材適所に配置し、しかもそれぞれが力を発揮したからこその勝利だった。

(文=青木 有実子)

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