都立大森vs日工大駒場
7月15日（水）神宮球場で行われた第3試合は炎天下の中、午後15時10分にプレーボールがかかった。
両校の試合前の練習、雰囲気を見ていると良く似たチームのように思えた。日工大駒場・坂口 茂也、都立大森・當間 俊介の投げ合いでゲームは始まった。
両校共に初回は難なく片づけたが、試合が動いたのは2回だった。2回表、都立大森は先頭の4番・石川 拓が死球で出塁すると、すかさず5番の玉田 宙が初球で犠打を見事成功させ、一死二塁と攻撃の形を作った。続く、6番・當間 俊が痛烈な中前安打を放ち、一死一、三塁と更にチャンスを広げ、間髪入れずに7番・大塚 航希が初球の甘く入ったカーブを迷いなく振り抜き、打球は左中間のど真ん中を破り走者一掃の先制の適時三塁打で2点を先制。
なおも一死三塁のチャンスで8番・松澤 将太が打席に立つが、松澤は痛烈な二直に倒れる。このアウトにより日工大駒場ナインの士気も上がり、ピッチャーの坂口 茂也自身も少し落ち着いたように見えた。それぐらい、このプレーは見事であった。落ち着きを取り戻した坂口は9番・藤本 光太郎を空振り三振に仕留めた。先制は許したが、流れはまだ五分五分の雰囲気だ。
2回裏、日工大駒場も4番からの攻撃だ。どうしても先頭として出たい4番の菊池 海斗は頭部へのデッドボールでチャンスを作る。無死一塁（前打者が臨時代走）、そして5番・神林 透は送りバントを簡単に成功させ一死二塁とこちらも都立大森同様の形を作った。チャンスで迎えるのは先ほど好守備でチームを助けた津野 元春を迎える。ワンボールからの2球目の真っ直ぐを叩いた打球はセンター前へと鋭いライナーで抜けていった。セカンドランナーが生還し1点を取り返すが、後続が凡退し日工大駒場の反撃は1点まで。
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その後両校共にランナーは出すが、点には繋がらない攻撃が続き、8回を迎える。8回表、日工大駒場は好投の坂口 茂也からエースナンバーを着けたサウスポーの藤谷 幹がマウンドに上がった。投球練習をみているとカーブに特徴がある。大きな弧を描くカーブだ。この球を軸に投球を組みたてようとしている意図が見えた。分かっていても打ち辛そうだ。
この回は途中出場の2番・宝田 貴裕からの打順だ。藤谷の立ち上がり、ストライクが定まらないボールを見事に見極め、四球を選んだ。無死一塁から3番・菅野 翔多の犠打で一死二塁とした。2回以来のチャンスを作った都立大森は、4番・石川 拓がライト線へ2塁打を放ち、一塁から宝田が生還し欲しかった追加点をもぎ取った。なおも一死二塁から5番・玉田 宙が初球を打ち返した。
初回から一貫して行っているファーストストライクから積極的にフルスイングをする都立大森の好球必打打法をこの場面で発揮。打球はセンターへと上がった。が、しかしセンターが目測を誤り一旦前に出てしまった為、頭上を越されてしまった。二塁ランナーは生還し4点目が入る。バッターは三塁へ。一死三塁とチャンスは続き、6番・當間 俊介も初球を叩き良い当たりではあったが、浅い中飛に打ち取られ二死三塁となった。続く、7番・大塚 航希には3ボール2ストライクまで追い込んだが、次の勝負の1球を投げようとした時、ピッチャー藤谷 幹に痛恨のボークが課せられ三塁ランナーは生還し、5点目が都立大森に入った。
5対1とリードを広げられて8回裏に日工大駒場も粘り強く反撃に出るが、この回奪った得点は2点まで。9回も好投を続けてきた。當間 俊介の前にチャンスは作るが1本が出ず、5対3のままゲームは終了した。
2回に都立大森が2点取った直後に日工大駒場が1点を返す。8回には都立大森が3点を取り、日工大駒場が2点を返すという攻防があった試合だった。振り返ると初回から勢いの出る初球からフルスイングを心がけた（準備が出来ていた）都立大森に勝利の女神が後押ししたと思われる。
また好投したピッチャーの當間 俊介投手も炎天下の中での試合とあって、5回頃から力の出し入れを活かしたピッチングに変えた点が、的を絞らせない投球になったように見えた。次戦は強豪校の1校として挙げられる関東一との試合だ。初球からガンガン行く打線がどのよう繋がるか期待したい。
（文＝南乃 啓之介）
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