北九州の福森が最速140キロの速球を武器に4回無安打!無安打リレーで5回コールド勝ち!

 加盟校136校もある福岡県。やはり人材豊富な県だと感じさせる試合であった。 この試合で光ったのは北九州のエース・福森 耀真である。176センチ75キロとややがっしりした体格が目を惹いた。ブルペンの投球から非常に勢いあるボールを投げており、マウンドに立った時の投球はどんなボールを投げるのか。心待ちにしていた。

 1回表、マウンドに登った福森は想像以上のストレートを投げ込んでいった。 この投手の良さは何といっても腕の振りの良さである。それを生み出しているのは地肩の強さ、背筋の強さ、そしてスクワットによって鍛え抜かれた強靭な下半身である。とにかく太ももが太い。それが腕の振りの鋭さとなって表れている。

 ランナーがいない時でもセットポジションから始動し、左足を上げて、テイクバックに入るまでの動作がが鋭く腕を振ることができている。球速は、常時135キロ〜140キロで、初回は140キロを2球計測。今日は自慢の速球で押す投球で、行橋打線を抑えていった。変化球はスライダー、カーブ。やや高めに浮いていたところがあったが、それでもうまくストライクゾーンに集め、3回二死までパーフェクトの投球。圧巻の内容である。 打線は3回裏、一死三塁から4番米園 隆佑(3年)の適時打で1点を先制すると、4回表、先発の福森が引き続き無安打投球を見せると、4回裏、無死三塁から9番京極 凌也(3年)の適時打から始まり、打者11人の攻めで、一気に7得点で、8対0とリードする。

 先発の福森は接戦ならば、ノーヒット・ノーランという期待もあったが、点差もあり、次の試合のことを見据えて、5回表から右サイドの伊崎 京之助(3年)が三者凡退に抑え、その裏、敵失と4番米園の適時打で10対0。5回コールド勝ちで、北九州が3回戦へ駒を進めた。

 再び福森のことに触れると、かなり視野の広さが感じられる投手であった。1回〜2回は速球中心であったが、3回以降はスライダー、カーブを外、内へ出し入れをしながら、変化球のコントロールを確認するなど、試合の中で、試しながら投げていた。あくまで次の戦いを見据えているように感じた。

 そして4回裏、6点目のホームを踏んだ福森は何気なく捕手のマスクを拾っていた。試合中のプレーを見ると感情の起伏が少なく、精神的に落ち着いてプレーしている選手であった。

 潜在能力は高く、体も強いので、この先の進化が楽しみである。

(文=河嶋 宗一)