これが1回戦のカードなのか!両者一歩も引かない好ゲームは、自然のいたずらにより再試合へ!

「雷です!」球審が本部へ駆け寄り、雷が発生していることを告げたのは、延長10回の裏、八重山商工の攻撃の途中だった。時間は18時を過ぎているのでこのまま何十分も待機するわけにはいかない。再試合、と決定づけるのは簡単だ。だが、これだけの好ゲーム、出来れば納得いく形で継続させてあげたい。沖縄県高野連又吉理事長以下、本部運営を担う先生方の願いもむなしく、空には稲光りと雷の音が轟く。数十分間の協議の後、「明日の宜野湾球場第3試合となります。」とのアナウンスが流れた。

 先制したのは普天間だ。2回表、二死二塁とすると7番宮城 優大が、三塁線を破る先制タイムリー。二塁から與那原 大剛(よなはら・ひろたか)が喜びを爆発させるようにホームを踏んだ。追い掛ける八重山商工は3回裏、一死からトップの真玉橋 樹(まだんばし・たつき)がセンター前へ運ぶと、宮良 雄太のヒットの後、仲嵩 雄雅(なかたけ・ゆうが)がレフトへ逆転の2点タイムリーを放った。

 一転して追う立場となった普天間は6回、與那原がセンターオーバーの二塁打を放つと次打者は粘って四球を選ぶ。ここで八重山商工・具志堅 忠憲が、まさかの連続ワイルドピッチで労せずして同点となった。だが八重山商工もさるもの。無死三塁となってからの普天間の攻撃を、サードゴロ(走者釘付け)、スクイズ失敗(三塁走者挟殺)で切り抜けた。

 互角の試合は9回を終えても決着がつかず延長へ。10回裏、先頭の前粟蔵 知哉(まえあわくら・ともひろ)がセンター前ヒットで出塁し、サヨナラのチャンスを得るが、冒頭の通り雷が鳴りゲームセット。明日の宜野湾球場第3試合へとスライドすることが決まった。

 普天間の190cmの剛腕・與那原は、この日の最速146kmをマークするなど、終始ストレートで八重山商工打線を圧倒したが、3回の3連打のシーンが悔やまれた。対する八重山商工の具志堅も力んだ、2つのワイルドピッチが同様。でもそれ以外のピッチングは、両者とも互角の投げ合いを演じてくれた。

 疲れを見せずに仁王立ちし続けるのはどっちなのか!?両軍エースの、意地とプライドの火花が、明日再びぶつかり合う!

(文=當山 雅通)