一関学院vs鶴岡東

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リズムに乗って1時間37分のスピードゲームを演出する4安打完封!

完封勝利を果たし、喜ぶ一関学院バッテリー

 わずか1時間37分のスピードゲームは投手戦となった。 一関学院の先発・佐藤 拓斗(3年)は左上手から振り降ろす本格派左腕。序盤はストレートの球速は、120キロ中盤だったが、みるみると120キロ後半〜130キロ前半と上げていく。本人によると、「調子が良かったので、どんどんスピードを上げていこうと思いました」と振り返るようにスピード、勢いともに中々のものであった。

 100キロ前後のカーブと、縦に鋭く落ちる縦スライダーのコンビネーションで、鶴岡東打線を抑える。特に縦のスライダーでも、打者の手元で鋭く変化するので、対応が難しそうであった。ランナー三塁の場面でも、縦スラで勝負ができているのだ。

 援護したい打線は、3回表に、一死から9番千葉大哉(3年)の中前安打、1番田村 裕哉(3年)の中前安打で一死一、三塁のチャンスを作る。2番小椋 元太(1年)の適時打で1点を先制した後、佐藤拓はしっかりと粘り強く投げることができていた。

 お互い早打ちが多く、テンポよく試合が進んでいく。5回まで1時間を待たずに折り返した。佐藤拓は実にテンポが速い投球を見せていたが、これも狙いがあった。「初回に良い流れで入ることができたので、どんどんテンポよく投げて試合を作っていこうと思いました」捕手からボールを受け取ったらすぐに投球動作に入るほどのテンポの速さで佐藤拓はどんどん投げ込んでいき、凡打の山を築き、9回表に入った。先頭打者に振り逃げを許し、二死三塁のピンチを招く。佐藤拓は、「試合で一番緊張しましたが、監督から、打たれても同点なんだから、気楽にいけといわれて落ち着いて投げることができた」と振り返るように、4番阿部大(3年)を中飛に打ち取り、4安打完封。本人にとって公式戦初完封のようで、「率直に嬉しい」と口にした。

 佐藤拓以外の好選手を紹介すると、完封した佐藤拓をリードした高橋 柊也(3年)は1.9秒台の強肩に加え、センター返しを中心に鋭い打球を打ち返す打撃も光った。敗れた鶴岡東は、130キロ前後の速球、スライダーをコンビネーションにテンポの良い投球を見せた左腕・福谷 優弥(3年)、強肩が光る遊撃守備とバットコントロールの良い打撃が光った安食 幹太(3年)も、主将として夏の試合へ向けて存在感を示してくれそうだ。

(文=河嶋 宗一)