神戸国際大附vs北大津

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神戸国際大附が両チーム合わせて6本塁打が乱れ飛ぶ空中戦を制し、14年ぶりの優勝

マウンドに集まる北大津ナイン

 智辯和歌山(試合レポート)を下し、勢いに乗る神戸国際大附と、地元勢として決勝まで勝ち上がった北大津の対決は、打ち合いに。最初は北大津が優位に試合を進めたが。今年にかけて、終盤の粘りが素晴らしい神戸国際大附が決勝戦でも発揮した試合となった。

 まず試合を1つずつ振り返ると、北大津は神戸国際大附の本格派左腕・東郷 太亮の立ち上がりを捉え、主砲の杉原 竜希が豪快な2ラン、6番浅岡 拓真の適時打でいきなり3点を先制。3回表、6番浅岡の本塁打、4回表にはスクイズで4回まで5対0と大量リード。このまま北大津が試合を優位に進めるかと思われたが、4回裏、神戸国際大附が4番谷本 進太郎の2ランで反撃開始。

 しかし北大津は5回表、5番松田裕司の本塁打で、6対2と突き放した。左腕から最速141キロの速球、キレのあるスライダーを投げ分け、強力打線・智辯和歌山から6回10奪三振の快投を見せた東郷からこの打撃。全国レベルの打撃を見せた瞬間であった。

5回まで6対2で折り返し、このままいくかに思えたが、6回裏、神戸国際大附は妹尾克哉が1点差に迫る3ランで5対6へ。妹尾はどちらかというと、守備力の高さがフォーカスされる選手だが、この日は打撃で存在感を示し、チームを追い上げる。

 そして8回裏、神戸国際大附が3番竹村 陸が同点本塁打を放ち、試合を振り出しに戻す。竹村は、この春から勝負強さをテーマに置いていた選手であった。力みのない構えから、最短距離で捉える打撃センスは素晴らしいものはあるが、あとは大事な場面で発揮できるかであった。今大会は近畿準決勝で先制ホームラン、決勝では同点ホームランと勝負強い一打を見せている。

 この同点本塁打で勢い付いた神戸国際大附は、一死満塁から8番松田崚佑の2点適時打。なおも9番塩田が2点適時二塁打を放ち、10対6と勝ち越しに成功する。そして最後はエースの塩田 大河が締めて、2001年以来、14年ぶりの近畿大会優勝を決めた。当時の神戸国際大附は、今、オリックスにいる坂口智隆が中心選手だった。あれから14年を経ての近畿大会優勝。神戸国際大附は昨年、初めて夏の甲子園出場を果たし、その後も秋、春と二大会連続の優勝。チームが入れ替わっても、強さを継続し、前評判通りの見事な戦いであった。

 なんといっても勝ちパターンを複数持っているということ。県大会では、津名に9回まで4対7の3点ビハインドから6点を入れて大逆転勝利。近畿大会初戦は打線がつながりコールド勝ち。準決勝では、6回表に3対2の1点差に迫られながらもすぐさまに突き放し、智辯和歌山の反撃の意欲を削ぎ落し、決勝進出したこと。そして決勝では東郷が打ち込まれ、いつもと違うゲームパターンになりながらもしっかりと逆転勝利したこと。ビハインドからでも取り返せるのが強みで、絶対に諦めないという気持ちがしっかりと実力通りに出せるようになった。

 やはりそれは、昨夏の甲子園で自分たちの打撃ができずに負けたこと、そして秋の近畿大会も、投手陣が乱れ、初戦敗退した悔しさが今の選手たちを底上げしたといってもいい。

 2年連続の夏の甲子園出場へ機運が高まる神戸国際大附。この粘りを継続し、頂点を目指す。

(写真=中谷 明)