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「引っ込めゴミ」「でてくんなしね」。サンリオの人気キャラクター「シナモン」が、ツイッターで複数のユーザーから暴言を投げかけられるイジメに遭い、「かわいそうだ」「なぜこんなことをするのか」と問題視する声があがっている。

シナモンは「子犬の男の子」という設定で、大きな耳で空を飛ぶことが特技というキャラクターだ。ツイッターの公式アカウントで毎日投稿をしているが、この投稿に対して、暴言のリプライ(返事)が飛び交っている。

たとえば、5月10日に「おはよう〜♪」とシナモンが投稿したところ、「お前は起きなくていいんだよ。一生寝てろゴミ。」「かえれこのやろう」「こっちは今からねるんじゃボケ」などの暴言のリプライが投稿されていた。

5月12日には、あるユーザーが「そのまま落ちて頭打ってシネッ!」とリプライを送り、他のユーザーから批判されたが、「ひまだからただシナモンにリプ送っているだけ」と意に介していない様子だった。

シナモンは人間ではないが、このような「キャラクター」のツイッターアカウントに暴言を吐くことに、法的な問題はないのだろうか。人間に暴言を吐く場合との違いはあるのか。ネットの中傷問題にくわしい清水陽平弁護士に聞いた。

●人間ならば「名誉感情」が問題になるが・・・

清水弁護士はまず、人間に暴言が向けられた場合について解説する。

「今回のような暴言が『実在する人間』に向けてされた場合、名誉毀損になると考える人が多いのではないでしょうか。

しかし、名誉毀損が成立するためには、社会的評価を低下させるものである必要があります。単なる暴言の場合、見ている人から『絡まれてるんだなぁ』とは思われるかもしれませんが、社会的評価が下がるとは一般的に言えません」

名誉毀損以外の問題はないのだろうか。

「暴言を向けられれば人格を否定されるわけであり、不快に感じることになります。そのため、名誉感情が侵害されたと見ることは可能です。

今回のようなリプライも暴言に過ぎないため、これが実在する人間に向けられれば名誉感情の侵害となり、損害賠償請求等の対象になり得るでしょう。また場合によっては、侮辱罪となる場合も考えられます」

●「業務妨害」や「信用毀損」の可能性はある

では、キャラクターの場合はどうだろうか。

「人間の場合とは状況が異なります。名誉毀損や名誉感情侵害は、現実に存在する人間について成立するものであり、キャラクターはこのような権利をもつことができません。

したがって、キャラクターにいくら暴言を吐いたとしても、一般的には、それを問題視することは難しいと言わざるを得ません」

では、全く問題ないということだろうか。

「必ずしもそうではありません。

このようなリプライを送り続けることで、アカウントを持っているサンリオのイメージを下げてしまうおそれもあります。理論的には、サンリオに対する『業務妨害』や『信用毀損』とみることは可能だろうと思います。

やっている人は気軽にネタとしてやっているのかもしれませんが、不快に思う人が大多数です。このような暴言を『ネタ』として投げつけることは、別に面白いことではありません。そのことを、今一度、立ち止まって考えてみるべきではないでしょうか」

清水弁護士はこのように語っていた。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、Twitterに対する開示請求、Facebookに対する開示請求について、ともに日本第1号事案を担当。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:http://www.alcien.jp