ミクシィ日記で「飲酒運転告白」は「冗談」?

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   またミクシィでの「飲酒運転告白」が騒ぎになった。これまでは、問題化してもネットメディアや夕刊紙などでしか報じられてこなかった。だが今度は高校の体育教師が飲酒運転を告白、地元紙に大きく報じられてしまった。この教師は「冗談で書き込んだ」として「飲酒」を否定しているが、それでも「冗談」が自分の生活基盤をも脅かすようなご時世になってきた。

   これまでのミクシィ「飲酒運転告白騒動」としては、大阪経済大学在学中の19歳の大学生の例がよく知られている。この学生は11月6日の日記で、飲み会で飲酒した後にバイクを運転したことを告白。「祭り」になった末に、大学側も10日付けで未成年の飲酒と飲酒運転をしないように呼びかける文章を公式ウェブサイトに掲載するに至った。この件は、ITMediaなどのネットメディアが報道した。

地方紙に掲載され、騒ぎ拡大

   今回話題になっているミクシィ日記での「飲酒告白」は、福岡県の筑後地方にある県立高校に勤める22歳の男性非常勤講師によるものだ。11月24日08時04分付けで、スポーツの試合で惜しくも敗れてしまった、という内容なのだが、こんな「余計なこと」ことを書いてしまった。

「で、昨日は3時ぐらいまで飲んでて6時前に実家から出てきました。飲酒運転やし(笑)」

   これに対して

「飲み会の感想は?いい気分になったんでしょー?飲酒運転は許さんぞ」

   と非難するコメントが書き込まれたが、この講師はこんなコメントを返信し、全く飲酒運転を反省していない様子だった。

「友達と後輩が吐いて大変やった。飲酒は許してね!もう仕事終わったけん、帰って寝る!」

   そうすると、日記が書き込まれて6時間後の14時07分に、ミクシィ上の、男性が勤務する高校のコミュニディー(コミュ)に「U(編注: この講師の本名)の犯罪」というタイトルのスレッドが立ち、「がっかりしますね」「最低ですね、この人」といった書き込みが相次いだ。また、この講師が、高校で起こった生徒の飲酒事件を「ついに全国区!!!!」というタイトルで、面白おかしく紹介したことについても非難が集まった(この事件では、運動会後に『打ち上げ』を行って飲酒した者がいたとして、全校生徒774人中151人が4日間の停学処分を受けた)。

   通常ならば、このような騒ぎは「ネット上の『祭り』」で収束するものだが、今回のケースでは大きく違うことがあった。この「告白」が、スポーツ紙でも夕刊紙でもない、地域の人に広く読まれている新聞に掲載されたのだ。記事が掲載されたのは、10月30日付けの西日本新聞朝刊。同紙は九州でトップシェアを誇るとされており、本社がある福岡では、最もよく読まれている新聞だ。こんな見出しで、福岡県ローカル面のトップ項目で「祭り」の経緯と、この講師が学校側から口頭で厳重注意を受けたことを報じている。ご丁寧にも、ミクシィ日記のスクリーンショットまで掲載されている。

冗談にせよ、書き込みをしたことが「非常識」

「講師『飲酒運転し出勤』 ブログに書き込み 『冗談』と釈明 県立校が厳重注意」

   この講師は西日本新聞の取材に対し、このように飲酒の事実を否定している。

「運転の際は酔っていなかった。たくさんの友だちがブログを見ているので、笑ってもらおうと大げさに書いた。軽率な行為で反省している」

   福岡県教育委員会はこの記事の中で「非常識な行為。この講師の教育者としての指導を徹底していきたい」とコメントしているが、同委員会教職員課ではJ-CASTニュースの確認取材に対し、

「ふざけた内容の書き込みをしたことが『非常識』ということです」

   と、「飲酒はなかった」という講師の主張を受け入れている。処分の経緯については、

「常勤職員ではないので、懲戒処分などはできないんです。そこで、学校長の口頭による厳重注意となりました」

としている。   この講師が勤務する高校にも話を聞いてみた。電話に応対した男性は、「ああ、あの『冗談で書いた』件ですね」と前置きした上で、

「まだ県の教育委員会との調整が必要ですが、『厳重注意』ということで、一応の処分は終わりです」

と、これまで通りの勤務が続くことを明らかにした。

   軽い気持ちで「冗談」を書き込むのは、いまや大変危険だ。