東京都港区の死亡事故に続いて、横浜市の東工大キャンパスでも不具合が明らかになった「シンドラーエレベータ(東京都江東区)」社製のエレベーター。札幌では、同社製品が使用されていること自体がニュースになるなど、事件の波紋は広がっている。にもかかわらず、シンドラー社は沈黙をまもったまま。それが不安を増幅させている。

   2006年6月5日、日本テレビ系列のテレビ局「札幌テレビ放送(STV)」は、札幌市内の市営住宅にシンドラー社製のエレベーターが使われている、と報じた。「少し怖い。団地には子供たちもいるので…」「ショックです。メーカーに問いただしたい」と、不安を訴える住民の声を紹介している。しかし、これまでに故障やトラブルは報告されていない、という。「製品がある」こと自体がニュースになっている。

東工大には取材が殺到、マスコミ批判も

   一方、東京工業大学すずかけ台キャンパス「総合研究棟J2」のエレベーターでは騒動が意外な広がりを見せている。

マスコミ取材が殺到した東工大のエレベーター。ドアが外れている(06年4月24日)。
マスコミ取材が殺到した東工大のエレベーター。ドアが外れている(06年4月24日)。

   06年6月5日にJINビジネスニュースが不具合を報じた翌日からマスコミの取材が殺到し、大学関係者は困惑気味だ。報道のきっかけとなった大手SNS、mixi(ミクシィ)上のコミュニティー[J2棟のエレベーターがおもしろい]では、「マスコミは『エレベーターが怖い』という結論ありきだ」「誘導尋問のような取材だ」という旨の批判が相次いだ。

「報道の方には私らはシンドラーをネタにして遊んでただけっていう事を理解して欲しかったです」
「昨日のJINの報道に続き、マスコミ各社の面白さ優先の公平さを欠く取材・報道には驚くばかりです。」
「流石は電波の公共性を謳うテレビ局の方々ですね。マスコミに追い詰められてノイローゼにならないよう 気をつけて下さいね」

   また、一部で「エレベーターの使用を中止する方針」という報道がされ、

「これって相当困るんじゃないですか?!」

   と、20階建ての建物をエレベーターなしで利用することへの不安の声もあがった。

ネット上ではシンドラー社に対する疑問や皮肉

   それ以外にも、ネット上では、事故を起こしたシンドラー社に対する疑問や皮肉交じりの声が絶えない。

「他社では異常と思える動作だが、シンドラーの場合は中途半端なところで止まったり突然ガクンとなったりするのは正常な範囲なんだよ。メルセデスのオウナーが軽トラックに乗ったら『「直進性に乏しい』とか『ロードノイズ拾い杉』とか思うかもしれんが、軽トラックなんてものはそれで正常」
「うちの姉が住んでるマンションも シンドラー製のエレベータだな。スピードが遅いからなかなか来ないとか かなり前に不満言ってたなあ。」

など、製品に対する不満・不安の声が並ぶ。

    「騒動」の渦中のシンドラー社はどう答えるのか。JINビジネスニュースは06年6月6日、前日に引き続いて取材を試みたが、「捜査が進展するまで、報道関係者には一切コメントできない」と話すのみだった。