後半国会の重要法案の一つ、教育基本法改正案は16日、衆院本会議で小泉純一郎首相が出席して趣旨説明と質疑を行い、審議入りした。焦点は「愛国心」などの表記だが、小泉首相は提出理由について、「教育をめぐる状況が大きく変化する中で、道徳心や自立心、公共の精神、国際社会の平和と発展への寄与などについて、教育でより一層重視することが求められている」と説明した。

 改正されれば1947年の同法制定以来始めてとなる。同日は教育基本法特別委も開かれ、小坂憲次文科相が趣旨説明を行った。

 政府提出の改正案は、(1)教育の目標に「我が国と郷土を愛する態度を養う」と明記、(2)宗教に関して「一般的な教養は尊重されなければならない」との文言を追加、(3)教育行政について「国民全体に対し直接責任をおって行われるべきものである」との文言を削除――などした。

 民主党も対案を示しており、それぞれの点で(1)「日本を愛する心を涵養(かんよう)」、(2)「宗教的感性の涵養は、教育上尊重」、(3)「教育行政は、民主的な運営を旨として行わなければならない」──としている。

 改正反対の市民団体は「国への愛は、法律で決めるようなものでない」(東京大学大学院の高橋哲哉教授)と指摘。また、(国民から国家権力への命令を記した)憲法に準じた性格を持つ教育基本法で、国民に国への愛を求めることはおかしいとしている。【了】

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